発売されて半年以上経つのに今更…って思われるかもしれませんが。
今でも沢山聴いているアルバムで、ツアーを終えて(これもだいぶ前)新たに見えてきたものもあって、せっかくなので振り返り踏まえて全曲語りやろうと思います。
実は前作『伝説の夜を君と』のレビューっぽいものも約2年前にやっていたり。
あれはフラッドを初めてきいた時に本当に何も知らない時に書いたもので、
正直見返したくないです…今から全部書き直したいです…(笑)。
思えばあれから2年弱。
もう戻れないところまでフラッド好きになりましたね。
ここから本題。
花降る空に不滅の歌を
a flood of circleが2023年2月15日にリリースしたオリジナルアルバム。
同タイトルのツアーが同年2月23日〜6月6日に開催された。
ツアーファイナルの模様は、最近発売されたシングル『ゴールド・ディガーズ』に付属されており、
私はというともはや週1以上のペースで見倒している為、
どうしてもツアーで披露した曲順が頭に入っていますが、
勿論アルバム曲順でのレビューになります。
違いを比較するのも何だか面白い。
当方、音楽知識も楽器の知識もありません。
大体メロディが好みとか歌詞がどうとかって話ばかりです。主観ばかりで語彙力もありません。もはやただの自己満足です。
1.月夜の道を俺が行く
気づけば結局佐々木亮介な曲。彼自身のプロフィールのような曲。
自分自身を貫き続ける強さを感じさせつつ、
理解されない事への生き辛さ・苦悩も描かれている、潔く見えて実は複雑な曲に思える。
人生賭けても ごっこと言われ続けてら
ざけんな ギリギリ笑ってた
個人的に印象的なフレーズ。
佐々木さんのような一見強そうな人でも、
そんなシチュエーションでモヤモヤしながら愛想笑いすることあるんだなって。
変な話、不思議と救われてしまう。
アルバムでは1曲目だが、ライブでは本編後半に披露されることが多い。
どちらの位置でもしっくり来る。
俺の夢を叶えるやつは俺しかいない
この言葉こそがアルバムのテーマの大部分だと思ってて、
それがアルバムの冒頭に来るのもエモいし、
同時に、ツアーファイナルのZepp新宿で後半戦で聴いた時、
色々な出来事を経て"この曲のこのフレーズたどり着いた"感が強くて、自然と涙が溢れてきた。
ツアー以降、少なくとも自分が参戦したワンマン・対バン・フェス・ソロ弾き語り含めてこの曲を聴かなかった事は無かった。
どうやら完全に定番入りの曲になった。
2.バードヘッドブルース
フラッドお得意(?)の"ブルース"がタイトルに付く曲で、ツアーではトップバッターを飾った。
『月夜の道を俺が行く』に比べて"苦悩"の割合が多く、むしろアルバム曲中で一番悩んでもがいている主人公の様に思える。
何か大きな変化や結論を導くのではなく、"自分にはこれしかない、進むしかない"…と、想いのままに飛ぶことを選んでいる、そんな印象を持つ曲。
ツアーではトップバッターで披露。曲が終わった直後の、
ーおはようございます、a flood of circleです。ー
が強すぎる。
"これが今の俺達です。ここから始めます"…と、まるで決意表明をぶつけられた気がして。
この展開はズルい。痺れた。
何となくこの立ち位置の曲は埋もれがちなのは分かってしまう。
ツアーファイナル以降、恐らくライブで披露されていない。
また1曲めでドカンとかまして欲しい。
3.くたばれマイダーリン
どうやら"フラッドらしくない"って言われてる曲らしい(良い意味で)。
斜めからブッ刺してるように見えて実はめちゃくちゃ純情な乙女心を描いた、可愛く毒のあるラブソング。
二次元ヲタクやってた私にとっては沼でしかない。
京○ニラブコメ感ある。ボカロ感もある。
個人的にこの曲のエモさは曲展開。
ずっと思ってたことなの
引越し蕎麦を食べるタイミングいつなの
からのラストサビ、
ずっと思ってることなの
ずっとそばにいて欲しい
この「ことなの」の部分のメロディラインが少し変化してて、
後者は音程が上っている。それがどことなく感情の強さを表現しているように感じる。
また、「思ってた」より「思ってる」の方がリアルタイムな気持ちである事が伺える。
引越し蕎麦を食べるタイミングなんて本当はどうでもいい、
"ずっとそばにいて欲しい"
これだけが本音だった…って考えると胸がぎゅーっと苦しくなる。
4.如何様師のバラード
佐々木さんがステージ降りてバーカウンターでお酒注文したり、お客さんの上に立ってダイブする曲。
そんなカオスなパフォーマンスが似合うカオスな曲。
曲調も歌詞にも強烈なインパクトがありながらの垣間見える"色気"。
一昔前の任侠ドラマのお色気お姉さんみたいな色気(?)。
この絶妙に妖艶な空気感を出せるロックバンドはもはやフラッドしかいない。
メンバーのビジュの強さを表現するMVも必見。
お笑い無知すぎる私が、金属バットだけは顔見ただけで分かるレベルにまで到達しました。
佐々木さんの胡散臭い詐欺師の演技がハマりすぎてる、彼はバンドをやるまで一体どんな人生歩んできたんだと少しだけ心配になりました。
ブラックジョークをガッツリ含んだ曲に見せかて、
"楽して上手い話なんて本当は存在しない。"
の結論に落ち着くところがフラッドらしい。
(最後再びお金ください言ってるけどな…)
5.本気で生きているのなら
ツアーでも直近の公演でもほぼ必ず本編ラストに披露されているが、実はアルバムではこの位置。
全10話の連続ドラマの5話ぐらいで伏線を迎えるアレだと勝手に思ってる。
これでいいんだ
この言葉の意味が前半と後半で大きく変わる。
諦め・言い訳からの強い"決意"に変わるまでを描いた、まさにドラマチックな1曲。
公演ごとに少し歌詞を変えていて、ツアー後半のインタビューでは"歌詞が同じだった事は一度も無い"と語られていた。
恐らくリアルタイムで感じている思いをぶつけているんだと思う。
8月の金沢での対バンでは"あの人にはなれない"的なことを発してたのが印象的だった。
その劣等感だったり自問自答を繰り返してるこの人のロックンロールだから支えるんだろうなって。
"大きすぎる夢"への挫折からの再生を描いてると思ってて、
その葛藤をまっすぐぶつけるライブパフォーマンスに圧倒される。
ほんとこの曲のライブステージまじで全人類見てほしい。
バンドにとって、佐々木さんにとっての「本気で叶えたい夢」って何だろう。
それがもしかして、ツアーファイナル後に発表された新曲『ゴールド・ディガーズ』の後半で描かれていた"あれ"の事かもしれない。
6.カメラソング
感情的で強めなボーカル曲が多いバンドでありながら、
この曲は今作で唯一、最初から最後まで優しいトーンのボーカルで形成されている。
個人的に"重くて泣ける曲"からの"温かい曲"くる流れが好き、何だかますます泣けちゃう。
(前作の『白状』→『R.A.D.I.O』然り)
愛とか幸せ そんなもんが誰かと同じわけないよ
忘れないでねって変わらない笑顔が騒ぎ続けてる
社会にもまれてモヤモヤしているサラリーマンが、
青春時代に元カノに笑顔で"バカだね"なんて言われて笑い合ったあの頃を唐突に想い出して寂しくなる…な情景が勝手に浮かんでくる。何だその具体的な設定。
ちょっと寂しくて甘酸っぱくてほろ苦いアレ。
昭和生まれのお前ら絶対好きよな!って言いたくなるやつ(笑)。
写真=過去でしかないからこの曲も想い出に着目しがちだけど、
しっかりと未来への希望も描かれてる。
今を生き抜く大人にしっかり刺さるこのフレーズすごく好き。
今が必死なほどちゃんといつか笑える
7.花降る空に不滅の歌を
疾走感ありつつ、ポップで優しさのあるアルバム表題曲。
歌詞出てくる「ベイビー」を中心に物語が繰り広げられている。
みんな子供の頃は純粋無垢で怖いものなんてなかった。自信を持って夢を語れた。
大人になるにつれそれを忘れて、予防線を張ってしまうもので。
そんな社会を生きつつ、どこかに違和感を感じてしまった人に是非聴いてほしい曲。
ツアーファイナルで真っ赤な花びらが降ってくる演出が印象的だった。
この曲における"花"とは何か。
個人的には"終わらせる事の美学"だと思っている。
そして、果たして終わりとは本当に美しいものなのか?と問いかけている曲なのかな、と。
そんな"終わり"の花が舞うステージの中で堂々と演奏をするメンバーと、
世界のエンドロールは
この世で誰一人
誰一人見た事がないってね
これからも自分達にしか出来ないやり方で夢を追いかけ続けていく。
そんな覚悟のようなものを佐々木さんのボーカルからまっすぐに感じとった。
本当に圧巻なので、皆様どうかBlu-rayで見てください(土下座)。
8.GOOD LUCK MY FRIEND
所謂"切なめアップテンポ"枠な曲だと思っている。
他の曲に比べてあまり具体的に語れてはなく、主人公の心情を中心に展開されている歌詞。
最初に聴いた時は2パターンの解釈を持っていた。
a)バンドをやってた友人が亡くなった
b)バンドをやってた友人がやがて夢を諦めた
後の本人インタビューからどうやらaでした。
(bだと思った理由…「どうして天井見てんだ」「手放す事だとわかってるんならいいんだ」あたりにあります。)
主人公と友達の物語がメインだった1コーラスだったが、2コーラスの冒頭で"俺の友達"は既に姿を消していた。
そこを皮切りに友人の意思を引き継いで、"ずっと音楽を続けていく"事を決心。
そんな2コーラスのサビを終えた後、
俺の友達
今も遠い空
走っている
走っていく
聞こえてる気がするGOOD LUCK MY FRIEND
GOOD LUCK MY FRIEND
GOOD LUCK MY FRIEND
GOOD LUCK MY FRIEND
ラストスパートのAメロ→大サビで再び"俺の友達"に視点を置いて讃える展開は涙ものです
佐々木さんソロの弾き語りで披露されてる『くたばれマイダーリン』『カメラソング』等を除けば、ツアーファイナル以降全くやってないのは『バードヘッドブルース』とこの曲ぐらいですかね。
実はアルバム最推し曲であります。それを踏まえての曲語りはまたいづれ…。
9.Party Monster Bop
"ザ・佐々木節"な激つよな台詞から始まる、終始ハイテンションな曲。
フラッドの歌詞って文字数が多い割に無駄がなく感じさせて飽きさせない、
佐々木さんのボーカルがそれを絶妙にかっこよく表現してくれる事でむしろワクワクさせてくれる。
言葉選びが飽きさせないのもその理由の1つ。
緑のジュース
口からピューって朝が好きだよ
『ピューって』って表現が何だか可愛いもの好き佐々木さんらしい。
この曲の初披露は2022年10月のフリーライブ。
その後、対バンやフェスライブで沢山披露されており、
ツアーファイナル後のDJイベント「AFTER PARTY MONSTERS」では主役枠の立ち位置を飾った。
しかしこれを最後に音沙汰が無くなってしまっている。
強烈なインパクトがある曲調
"後悔なく生きろ!" って叫んでいるような、フラッドらしさのある歌詞。
ライブでも盛り上がってたし、
最初に聴いた時からこれは絶対に定番曲化する!って思ってたんだけど、
他に強すぎる曲が色々出てきたのか、埋もれちゃってますね。
またこの曲でライブでドカンとキメてほしいなぁ。
10.花火を見に行こう
2022年の『伝説の夜を君と』ツアーの後半から披露され、ツアーファイナルの日にリリースされた曲。
そのファイナル公演のアンコールでは、バックスクリーンに歌詞が表示される演出がなされた。
もはやあれが完成されすぎててこれ以上はないって思っていたが、
しっかり今作のアルバムのラストを飾り、今でもよく披露されている曲になったのは安心した。
優しさの中にも芯の強さを秘めたミドルテンポな曲調で、
例えばコロナ禍の不自由な状況で必死にもがいている人、
夢が遠くて挫折しそうな人、
…そんな決して順風満帆ではない人々が希望という名の"ギリギリ間に合うメロディ"に手を伸ばそうとしている歌詞。
『バードヘッド・ブルース』『月夜の道を俺が行く』は"自分はこんな風にしか生きられない、これしかない"と不器用な自分自身を表現しており、
『本気で生きているなら』で展開を変え、『花降る空に不滅の歌を』『花火を見に行こう』では"それなら踏み出そう"と決意表明をしている様に感じられた。
(余談だが、そういえば"空"にあるものをテーマにした曲多いですね。)
この曲はアルバム曲の中で1番最初に発表されているが、
不思議とアルバム全体のテーマになっている気がするし、
アルバムの最後に持ってくることで、
まるで"物語は続く"…の様な、続編を期待させられる様は最終回を感じた。
恐らく、"花火を見る"="夢が叶う"事を表しているのかな。
ツアーファイナルで佐々木さんが「まだ花火を見れていない」と言ってたのは、このツアーを経て次のステップを現実に捉え始めたからかもしれない。
いつか僕らは必ず見上げるだろう
未来の夜空に輝く
願いが叶う日の花火
3年後、東京のあの会場に4人がステージに立っている。
その時にこの曲を全力で打ち上げてほしいなって強く思う。
まとめ?
オリジナルアルバム、"1曲毎に主人公が違う"タイプと"1人の主人公の物語"タイプで勝手に分ける癖があるんですが、
前作以上に今作は圧倒的後者だと思ってる。そもそも佐々木亮介という1人の主人公のようなアルバムで、
だけどそれが不思議と聴き手の人生にも当てはまる、自分自身を考えさせられる作品になっている様に思える。
曲にしても歌詞にしても、自分自身のやりたいことを詰め込みながら他者にも共感をさせられる、そこがa flood of circleの凄さであり好きなところだと改めて。
また、『伝説の夜を君と』『花降る空に不滅の歌を』2枚のアルバムは繋がっている様にも感じる。
全然違う作品でありながらも伝えたい事は同じなのかもしれない。
だからこそ何となくだけど、次回からは少し違うアプローチの作品になる様な気もしてて、それも凄く楽しみです。