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【ライブレポート】9mm Parabellum Bullet - カオスの百年 vol.19/心斎橋BIGCAT -DAY2-

9mm Parabellum Bulletの結成20周年ツアーの2箇所目、大阪。
初日2月27日はTHE BAWDIESとの対バン、2日目の2月28日はアルバム『DEEP BLUE』の再現ワンマンライブ。

前回のレポで『VAMPIRE』は"2番目に好きなアルバム"と話したが、実は『DEEP BLUE』こそが私にとっての最推しアルバムなのです。
この日は何が何でも大阪でこの公演を見届けなければならなかったので、無事に参戦できて本当によかった…。当月、体調や怪我や飛行機乗り遅れて参戦できない夢を何度か見た。

 

そのDEEP BLUE再現ライブレポをするのだが、
折角なので(?)、このアルバムの当時のツアーその他の諸々の想い出話を前置きで行います。ただの日記です。

 

2019年11月16日 FEEL THE DEEP BLUE TOUR / Zepp Fukuoka

この日久々に大好きなScarlet Shoesを聴けて、中央2列目で泣きながらブチ上がっていたのもつかの間、
途中で卓郎さんが声を出しづらそうに感じた。気のせいかなと思ったが、『夏が続くから』のサビの高音が殆ど出ていなかったところで確信に変わった。
その後一度ステージをはけたものの、戻ってきた後は予定通り最後まで歌い切った。
辛そうな卓郎さんを初めて見て、もうずっと心配で涙ボロボロ出ながら見ていた。

後半のMCはいつもよりもシリアスみが強かったように思える。
その中で、

"また来年の夏ぐらいに福岡に帰ってくるから。"

とリベンジを口にしていた。
翌年2020年、福岡の最大規模の夏フェス「NUMBER SHOT」の出演が決まったが、新型コロナウイルスにより中止。
あの時期までは正直、"ライブが悪者にされている"と感じていたり、去年の公演の卓郎さんの言葉を思い出しては"福岡のフェスで絶対に見たい!"と思っていた気持ちが色々重なって、
あの中止発表の日は2020年で一番情緒不安定になっていた記憶がある。
このフェスに限らず、タイミング的に、夏が続くからが夏フェスで披露されてもおかしくないって思ってワクワクしていたが…残念なことにこの年は全ての夏フェスが中止になっていた。

 

2022年9月19日 Walk a Tightrope Tour / Zepp Fukuoka ※中止※

福岡は3公演目だった。1公演目の大阪、2公演目の名古屋にて『夏が続くから』がセトリ入りしていた事で、
2019年のあの日と同じ会場でこの曲を聴きけるんだ…と、
このツアー中で一番楽しみにしていた公演だった。

しかし台風により中止。なかなか上手くは事が進んでくれない。
何にせよ自分が住んでいる場所が台風のターゲットになっていた事も忘れてはいけない。
心の弱い人間なので、台風が怖くて眠れなくなるのが嫌で酒を手に取り、
その日の夜は夏が続くからのMVをエンドレスで見ては大泣きして泥酔してそのまま寝落ちしてた。
もう分かってもらえたと思うけどだいぶ心が病みやすい人間です。

 

2024年2月28日 カオスの百年 vol.19 / 心斎橋BIGCAT

ごめんなさいやっと本題です。

そんな切ない約4年間を経て(あんたの気持ちはどうでもいいがな)
2022年の台風での中止の際は、"2029年あたりに再現ライブをやってくれるって信じよう"って思ってたが、思ったよりかなり早くその日を迎えられることになるとは。
心して挑みました。

セットリストはVAMPIRE再現の時と同様、前半にDEEP BLUEの楽曲(アルバム曲順どおり)を持ってくる形だった。
色々と思い入れのアルバムなので、ここのターンは1曲ずつ自分の思いを含めて語っていきます。
ちゃんとしたライブレポになっていないと思いますが…;
正直当時は情緒ぶっ飛んでたし時間がたってますます記憶が無いなんて言えません。

 

1.Beautiful Dreamer

そもそもDEEP BLUEが他のアルバムと温度差があると思われているのは、全体的にポップみが強いのもあるし、トップバッターのこの曲の出だしがめちゃくちゃ爽やかなのもあると思うし、
だけど次の瞬間のイントロの滝さんのギターのゴリゴリ感を聴いたら9mmだ!ってテンション上がる。
卓郎さんの気持ちを汲み取っての、フロア一体になってのサビの合唱、最初からエモエモでした。
前向き過ぎない、不安や苦しみを抱えた主人公を感じさせられる歌詞だからこそ、このアルバムの出だしとしてしっくりくる曲。

 

2.名もなきヒーロー

中央前方側がすでにぎゅうぎゅうになってたのを見て、やっぱり全9mmファンが大好きな曲だよなぁってなった。
"頑張れ"と言わない応援歌、そういうのこそ救われるタイプの人間で、初めて公開された時に泣きながら聴いてた。
当時9mmの初めての応援歌って言ってた気がするけど、私にとってはLiving Dying Messageも太陽が欲しいだけも応援歌で、いずれも頑張れって言わないところが好きだなぁって思ってる。
今でもいろんな場面でライブで聴いては励まされています。

 

3.カルマの花環

アルバムの中では1番ゴリゴリしてる曲と思ってる。2~4あたりフロアのノリが一番いつもの9mm感あった気がする(笑)。
この曲はイントロがとにかくテンション上がるしメンバーの演奏見てるのも楽しい。

 

4.Getting Better

実はアルバム中1番好きな曲。
9mmらしい歌謡チックなサビのメロディとか劇好みだったり、ちょっと行き急いでるような不安定な歌詞への考察が永遠に止まらない。卓郎さんいつか歌詞解説してほしい。
2019年4月の野音でアルバム先行披露された当時はライブ定番入りするのかなぐらいに思っていたのに、アルバムツアー終わって1度も披露されていない。
こんな盛り上がるのに勿体ない。
サビ前のイントロ&和彦さんのスクリームの時に客席が思いっきり腕を振り上げている光景とか、何かいいなぁこういうのって思った。

 

5.夏が続くから

この曲については前置きで書いた通りで、今回一番楽しみ且つかなり不安でもあった曲。(特に前回のVAMPIRE再現で再び調子を崩していた事もあり)。
だけどそんな私の不安をよそに、伸び伸びと優しい笑顔で歌う卓郎さんの姿がそこにあった。
私は別に喉の調子が良いとか悪いとかそういうのはどうでもいい、
ただ思うように歌えない卓郎さんの事を思うと苦しくて心配だった。何の気負いもなく幸せな気持ちでステージに立ってくれる事がファンとして1番嬉しい。
無理してそうでもなく、本当に素敵な笑顔を客席に向けたあの姿と、美しい音楽と美しい歌声を聴いて、

何も言わずに君だけを見つめたら
世界が止まった

まさにその通りだった。
この約4年間の色々がやっと報われた気がした。本当に、歌ってくれてありがとうございました。

 

6.21g

これもまたツアー以来に披露された曲。
爽やかな曲調ではあるが実はテーマがちょっと重くて、このアルバムのこれからの超展開の前兆としては相応しいなと勝手に思ってその意味でも推してる曲。
あとシンプルにサビのメロディが好きです、ちょっと切なくて。

 

7.Mantra

アルバムを初めて手に入れた際に歌詞カード開きながら順番通りに聴いていって、
21gが終わり、歌詞カードをめくった時に衝撃と涙が同時に出てきた。
ただ鬱憤を叫んでいるだけの曲ではなく、このアルバムのこの位置により、"諦めたくない"の強い心を感じる。
当時は部屋で一人泣きながら聴いてた曲、この日、それぞれの想いを込めたフロアの皆で叫ぶ光景が何だかちょっとおかしくて、でも嬉しくて、やっぱりちょっと泣いた。

 

8.Ice Cream

このアルバム1番のダークサイド枠。Mantraからの展開の変わり方が絶妙すぎるし、一見爽やかでちょっと切ないDEEP BLUEの物語にこの曲をぶっこむことで一気に面白くなったし、それこそが最大の魅力だと思っている。
まるで超展開を迎えてのダーク主人公が降臨したかのようなイントロ(漫画の読み過ぎです)は何度聴いてもしびれます。

 

9.DEEP BLUE

タイトル曲ながら、本音を言うと前後の曲のインパクト強すぎて、当時はあまりハマらなかった曲。
それがもはや今ではCD音源聴くだけで涙が出そうになるぐらい好き。
途中のMCで卓郎さんが、
"色んな色を塗り重ねて深い青になっていく"
と言っていたのが印象的だった。大人になればただ楽しいだけではなく、挫折、別れ…辛い経験も増えていく。
だけどそうやって痛みを得て、気が付けば何にも代えられない、大事なものもできていく。

ひとりじゃ何もできなくなりました
君と出会ったばかりに

そう歌う卓郎さんがあまりにも眩しかった。
まさに9mmに出会ってロックバンドのライブに出会った私もそうだなぁって。
もういい大人だからなんてどうでもいい、好きなものを全力で追っかけて一生青春を塗り重ねて行く、改めてそう誓った。

10.君は桜

卓郎さんがインスタで"良い曲"って書いててほんとそれ、何度聴いても良い曲。
爽やかな卒業ソングでありながら、キラキラした青春だけじゃない、
"夢がやけに重たくても"と言ってるように、壁にぶつかっても前に進む事を教えてくれる。前曲と通ずる、"大人のための青春"ソングだと思っている。
ここ数年ここぞって時に聴けて嬉しいし、もはや何度聴いても飽きない。

 

11.いつまでも

上で書いたFTDBツアー福岡では披露されず、そのツアーの初日広島でしか聴いてなかった事もあり、本当に今回聴けて良かった。
Aメロの儚くて消えそうで、でもしっかりした卓郎さんの歌声がドストライクに好みです。指パッチンリズム取りに情緒持ってかれたけど。
ウエディングソングながらも、ライブで聴くと"アーティストとファンの絆"にもとらえられる、そんな都合よく解釈できる人間は涙が止まりませんでした。

 

12.Carry On

歌詞に"やぶれた夢"ってある時点で順風満帆ではない主人公が描かれているんだろうけど、
ラストにこの曲を持ってきたことに"9mmなりのハッピーエンド"を感じた。
これからも時にはぶつかりながら迷いながら生きていこう…ってのが全力で伝わる。
もう情緒ぶっこわれて何も覚えてないんですが(レポする資格よ)、"君を必ず連れて行くよ"の卓郎さんの優しくてでもどこか強い表情は覚えている。
この4年間、FTDBツアーでの夏が続くからの辛そうな光景ばかり思い浮かんでいたが、
この日を境に、この曲の卓郎さんの光景がずっと刻まれている。

 

DEEP BLUE再現が終わり、後半戦は何が来るかなと思っていたら、
"去年は大阪にワンマンには来れなかった、久々にワンマンで帰ってきたからこそ、フェスではやらないインストを"との事で、
まさかのインスト3連発『Spirit Explosion』『The Revenge of Surf Queen』『Calm Down』。
9mmは本当に演奏が楽しいだけにインストでも盛り上がれる。
ちょっと切ない楽曲多めのDEEP BLUEターンを終えて爆発したかのように、フロアはめちゃくちゃテンション上がってた。

前述のようなコンセプトで行われたであろうインストのターンだが、ラストに『Calm Down』が来た事で、もう1つの"裏テーマ"のようなものを勘繰ってしまった。

例のFTDBツアーにて、夏が続くからの後に卓郎さんがステージをはけた後、
残されたメンバーは誰か喋る事もなく、静かに演奏をしだした。
他のバンドであれば、こういう時は誰かMCで場を繋ぐだろうが、それをしないで演奏で繋いだのが9mmらしい。
そこで生まれ、後に1つの楽曲として世に出た曲こそが『Calm Down』だった。

当時はステージ目の前にいるはずのフロントマンは不在だったが、この日はしっかりギターを弾く卓郎さんの姿があった。この景色もまた自分にとって救われた瞬間だった。
もしかしたら、このターンが、この曲こそがDEEP BLUE"ツアー"の再現の結末だったのかもしれないな…と感じた。

そこからはここ最近の定番化『One More Time』『Black Market Blues』の激繋ぎ。この流れいつ聴いてもテンション上がるからずっとやってほしい。
昔からの定番曲『Termination』、『Talking Machine』、そして今回も相変わらず爆速でキメる『Punishment』。
なんだか吹っ切れたような、潔すぎる展開で本編を閉めた。

アンコール。再びメンバーが登場した後、
卓郎さんが「みんなの熱量が伝わるライブだった」からと、アンコールはこの曲やりたい、と、先ほど決めたような話をしての『The Revolutionary』。

ワンマンやフェス問わず色々な場面で聴いてきたこの曲が、今回は何だか特別に感じた。
冒頭の、

長い夜が明けた

ここフレーズがあまりにもマッチしていた。
2019年のツアーの事やその後のコロナ禍、色々な場面での切ない想いやかけがえのない想い出、すなわち"青を塗り重ねてより深い青になった"出来事が、ここで一旦報われたように感じた。
この曲を選んだ理由がなんとなくわかった気がした。

ラストの『(teenage)Disaster』ではステージとフロアも全てを出し切るようにぶつかり合っていたように思える。
もはや続編や映画化を匂わせないようなドラマの最終回だった。
DEEP BLUE再現公演をなんの迷いもなく、きちんと締めくくってくれたのが本当に嬉しくなった。

最初にアルバムを聴いた時から気に入っていたものの、そこから9mmを追っていくうえでも、自分のしがない人の中でも、重要な場面で登場していった収録曲が心から好きで、
今となっては本当に大事な作品になっていった。
そんなアルバムを卓郎さんをはじめ、9mmメンバーも愛してくれているのがまっすぐに伝わったライブで、
DEEP BLUEという作品が今まで以上に好きになりました。
このアルバムを生み出してくれて、幸せになれる再現ライブをやってくれて本当にありがとうございました!