9mm Parabellum Bulletの結成20周年ツアーが2024年2月、名古屋から開幕した。
2月8日はBIGMAMAとの対バン、翌日9日は2008年発売のアルバム『VANMPIRE』の再現を行うワンマンライブとなった。
私は2日目のワンマンに参戦。
相変わらず今年もど平日にこのバンドに会いに飛んでってしまっているが、
実は私にとってVANMPIREは9mmの中で2番目に好きなアルバムなので…仕方ない。
(ちなみに1番好きなアルバムは月末の大阪で再現です…どういう事だよいきなり…)
好きな円盤の曲が聴けるってだけで嬉しいのに、
整番20番台をひいてしまった事でまさかの最前で見れてしまった。(下手です、いや知ってますよねハイ)
そんな奇跡が奇跡を呼んだ公演だが、
既に当時の状況が出回っている様に、卓郎さんやメンバーにとって悔しい想いをしたであろう日になった。
私もまだ昨日の今日でまだ色々な感情がぐちゃぐちゃではあるけど、この状態で書いておこうと思って。決して遠征先で暇だからとかではない。
ちょっと辛い話もしちゃうかもしれませんが、本当に忘れられない夜になったので、どうか読んでいただければ幸いです。
昨年末にアルバム『Termination』の再現をした際は、スタートは最新曲で過去の曲に遡ってアルバム曲にたどり着くセトリだったが、今回はどうなるんだろう…とドキドキしていたところ、
出だしからガッツリ『Wonderland』。再現からスタート。
そういえば2020年に行われた「2Q2Q」でも(SEのインストを除いて)この曲スタートだった。どことなく不穏なイントロから始まるのがあまりにカッコよく印象的だったので、ここでもやってくれて嬉しい。
この時点で卓郎さんのボーカルがいつもと違う気がした。ちょっとドスが効いた?強めな感じで。
後半になって声が枯れてるのかな…?と気づいた。
この時点で少し調子が悪いことを明かし、皆に手伝ってほしいと話す。
昨日の対バンが激しすぎたのかなと心配したが、1曲目でどうやら滝さんのギターのシールドが切れたらしくそれを卓郎さんに見せびらかす→卓郎さんがブンブン振り回してフロアは爆笑(和彦さんも思いっきり笑ってた)。和やかな空気感だった。
そのまま『Vampiregirl』へ。アルバムのリード曲でやはり大人気。もうこの時点で客席がハチャメチャに盛り上がっていた。
そして再現ライブの醍醐味はやはり普段聴けないコア曲が披露されること。『Trigger』もまさにそれで、既にテンションMAXからの『Keyword』。この曲は大人気ゆえに昨年の日本武道館公演でもランキング枠で演奏された。このスパンで2回聴けるのは嬉しい。
最近の9mmのワンマンではまず起きないダイブも発生したのは、再現ライブを聞きつけた当時のファンもいたからかもしれない。まぁ禁止なんですけど。
BPMが圧倒的高い『Hide & Seek』、この激しさこそ9mm。
和彦さんスクリームめちゃくちゃ頑張ってんなと思ったら、後半では最近のThe Revolutionaryを彷彿させられるあのジャンプをかましてた。下手側は和彦さんに合わせぴょんぴょんしてた。
ここまでは声出すのが辛そうな卓郎さんは部分部分で歌いつつ、歌いづらそうなところは客席で合唱が起きていた。インスト曲『The Revenge of Surf Queen』が来たのはこの状況だからこその大きな安堵だった。
普段のライブでもお馴染みの『Supernova』だが、客席の歌声が響くのは不思議な感じだった。
私がこのアルバムを好きな理由は単純に"好きな曲が多いから"なのだが、
今回1番楽しみにしていたのは『Faust』。
ロマンチックながら切ない歌詞が大好きで、おそらくこれまでライブで聴けたことはなかったと記憶している。
構わないよ 変わらないよ
どっちにしても
同じぐらい苦しいのさ
構わないよ 変わらないよ
どっちにしても
俺は探し続けるから
今この状況でこのフレーズを卓郎さんと一緒に合唱するのは何だかとてつもなく苦しくなったが、人生って色んな出来事が待ち受けていて乗り越えて繰り返して、きっと一生悩み続けるものだ。
2019年の「FEEL THE DEEP BLUE TOUR」の際も同じように卓郎さんが調子を崩してた公演があった。その際のMCで似たような話をしていた事を思い出した。
この曲にも卓郎さんにも沢山の大事な言葉をもらってきたんだよな。この曲がこの日聴けて本当によかった。
ここで卓郎さんの喉がもう限界にきている事を明かす。
首?食道?あたりをさすりながら、声を出そうとしても上手く出ないと言っていた。
本来ならもうここでライブをストップしなければならないところまで来ていたと思う。
一番好きな曲がまだ残っていようがもうその覚悟はできていた。とにかく心配だった。
それでもVANMPIREだけは最後までやりたい、歌えないけどやっていいですか?
と卓郎さんが話し、フロアは"任せろ!!!"と言わんばかりの大歓声をあげる。
ここからは完全に客席に歌を委ねて『悪いクスリ』から続行。
個人的には2019年の大阪城野音公演以来に聴けることで楽しみにしてた『We are Innocent』、演奏もフロアもめちゃくちゃ激しいことになっていた。そこからのオシャレソング『次の駅まで』の切り替わりがエモい。これまた大好きな曲ですありがとうございます…!
アルバム最後を飾るのは疾走感あふれるイントロで始まる『Living Dying Message』。
先程までは久々の披露曲も多くみんな1番と2番がごっちゃになったり(滝さんも間違えて突っ込まれてたのは和んだ)していたが、この曲は殆どの人が完璧に歌えていた。
比較的少なめでシンプルな歌詞の中に込められたメッセージに勇気を貰ってきた人も多いだろう。
私もそうだった。社会人になって仕事や人間関係や恋愛に悩んで、誰にも言えない時もあって、独りぼっちだなって感じた時にこの曲を聴いて、
「こんな風に応援してくれる人もいるんだ」と不思議と気持ちが軽くなっていた。ことあるごとにこの曲にずっと救われ続けてきた。
最近の9mmの曲も勿論好きで年々かっこよくなっていってると思うが、
私は初めて聴いた時からこの曲が1番で、それはこの先ずっと変わらないと思う。
断りもなく溢れ出すのは
忘れたくない思い出ばかり
震える膝に落ちた滴で
たとえ汚れてしまってもこれから先
消えてしまうものだけ
選んで愛したとしてもあなたは二度と孤独になれない
いつか必ず分かる日が来るよ
あなたは二度と孤独にならない
いつか必ず分かる日が来るよ
歌えない卓郎さんの代わりに会場に響き渡った美しすぎる、希望に導くメッセージ。
この歌詞を作ってくれた卓郎さんに応えたかったが、私はもうこの時すでにだめで、策に顔をうずめてボロボロ泣いていた。歌えなかった。
ライブ後に卓郎さんが自身のインスタに挙げていたのはこの曲のことだった。
"この曲の歌詞の意味を本当に理解できて救われました"
そんな内容が書かれていて、やっと私も気持ちが落ち着いた気がした。
改めてこの時の景色がどれだけ輝いていたか。これまで卓郎さんが、9mmが作り上げてきた事で生まれた景色だと思う。
この光景の事は一生忘れない。
そこからメンバーがはける。
先ほど話した2019年のあの日もそうだったように、アンコールの手拍子はできないでいた。
やがてステージに戻ってきたのは滝さんだった。
やはり卓郎さんは限界で、これ以上公演を続けることはできない。
申し訳ないけど振替公演を必ず行うから、今日はここで終わりにしたい。
もうこれは当然の事。客席は誰一人として「えーーー?!」等の声はあげず、多くの人が首を縦に振っていた。
滝さんが「卓郎がかわいそうだから」って言ってたのが印象的で。
卓郎さんや私たちへの優しさゆえに出た言葉だったんだろうな。
だが、
「でも…あと2曲ほどやっていいですか?」
と滝さんが言ったことで客席から再び歓声が上がり、メンバーが登場。
これでもかってぐらい爆速の『Punishment』でのテンションぶちあがった客席の大合唱すごかった。
ラストは『Lovecall From the World』でファンから卓郎さんへの"ラブコール"を叫んで、当公演は終了した。
アウトロの途中で素早くステージをはけた滝さん。
これはもはや卓郎さんの為ゆえの行動だったかもしれないな、と勝手に想像している。
最後に変顔をかましてステージをはけるかみじょうさん。かみじょうさんなりの優しさがまっすぐに伝わってきた。
最後にサンデーフォークのスタッフさんが登場し、
今日はこれで終わりにすることと、
振替公演を3月4日に行うことを発表。
おそらく本編終了後に話し合ったんだと思うが、その時点で日程を決めたのはビックリした。
卓郎さんが心配で仕方ないものの、私たちファンの為に早く決めてくれるのは嬉しくもある。
正直に胸の内を話すと、3ヶ月前に同じように調子が悪くなっていた多賀城公演の時は割と冷静で「卓郎さんの事だから大丈夫だろう」と思っていた。
だが、このスパンでまた起こってしまった事で今回はもう心配と不安でぐちゃぐちゃになってしまった。
終演後しばらく動けず策にしがみついてわんわん泣いて、ドリンク列でもメソメソして(でもしっかりハイボールは飲む)、フォロワさんが声をかけてきてくれた時にまたボロボロ涙が出てきて。
一番悔しいはずの卓郎さんはステージでずっと笑顔を崩すことはなかった。
私たちファンがそれに応えなきゃいけないのにそんな自分も不甲斐なかったし、
きっとゆっくり休めば大丈夫な筈なんだろうけど、もしもの事とか色々考えてしまう。
それぐらい9mmはもう自分にとっての人生の一部どころか大部分になってるから。
ひとまずは何も考えずにゆっくり休んでほしいです…って私が言わなくてもそうなるだろうけど。
また元気な姿が見れたらいいなぁ。
それまではLiving Dying Messageのメッセージと、あの景色を想い出しながら過ごしたい。
改めて、あきらめずにステージに立ち続けてくれて、その姿を見てまた1つ9mmに救われました。
卓郎さんも、メンバーの皆さんも、携わってくれた全ての関係者様、
本当にありがとうございました!