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【ライブレポート】a flood of circle - Tour FUCK FOREVER & I'M FREE/名古屋CLUB QUATTRO

※ツアー中につき、ネタバレにご注意下さい。

 

a flood of circleが2012年に発売した『FUCK FOREVER』、
2013年に発売した『I'M FREE』。
過去の2枚のアルバムを引っ提げての再現ツアーが、2022年9月10日、名古屋CLUB QUATTROよりスタートした。

7月に行われた『伝説の夜を君と』のファイナル公演で当ツアーが発表され、
既にチケット入手済の某バンドのツアー大阪名古屋の間で運が良かったのはあるけどその日にFC加入&名古屋のチケットを申し込んだ。
今年初めてフラッドのライブを見た新参者、
ついにはなんの躊躇もなく遠征を決める運びとなった。

もちろんフラッドのツアーの初日参戦は初。
そして名古屋クアトロも初。
クアトロは広島がとにかくお気に入りで、名古屋もそれに劣らずアットホームなライブハウスで、会場に入った途端、ワクワクが止まらなかった。

 

※ここからセトリネタバレ含みます。

 

開演。
毎回何気に気になっているのは佐々木さん(Vo.)のファッションではありますが、
今回は黒の革ジャン×柄シャツという王道スタイルでした。
これもきっと当時の再現なのだろうか。
それ以上にいつも柄シャツを見てきた渡邊さん(Dr.)が白シャツだったのが印象的でした。

 

そんな再現ライブの1曲目は『Summertime Blues II』。
時期的に夏の終わりを感じさせられる。
Aメロはシリアスかつダークじみたブルースだが、
サビで一気に激アツになるところにエモさを感じる。最初からクライマックスに盛り上がれる。
強めで一見蔑んだ歌詞の中の、"新しい夏を探してる"のちょっとキュンと来る言い回し、なんとなくフラッドっぽくて好きです。
そこからの『Dancing Zombiez』で会場の熱気がさらに上がる。
なんだかんだ、今回一番の定番曲だと思うし、新参の私にとってもかなり安心感のある1曲になった。
イントロのリズムからテンションが上がりすぎる『Diver's High(VAVAVAVAVAVAVA)』。
サビの"VAVAVAVAVAVA!"が楽しい。
 2枚のアルバムをごちゃ混ぜながらぶっ飛ばしてくる感じが既に楽しい。

去年末ぐらいから初めてフラッドを聴いて、そこで真っ先の思ったのは「演奏全パートカッコ良すぎる」だった。
全員責めてるところが心地よいしロックンロールだなぁって思う。
ほぼインスト曲『All The Young Rock'N'Rollers』、4人のグルーヴが絶妙すぎて、ライブできいてますます好きになった。

 

お馴染みの、
「おはようございます、a flood of circleです。」
の佐々木さんの決め台詞を受け止めてからの『KINZOKU Bat』、色気もありつつゴリッゴリすぎて。クアトロの会場でこういう曲浴びれるの最高すぎる。
続いての『God Speed You Baby』でもロックで熱い展開が続き、
『Blues Never Die (ブルースは二度死ぬ)』でフラッドお得意のブルースで会場を酔わせる。

佐々木さんのアコギのターン。
先程と雰囲気がガラッと変わり、カントリー調の楽曲『The Cat Is Hard-Boiled』を披露。
優しい曲調に癒されつつ、歌詞がブッ刺さりまくるのがこの曲の魅力だと思う。
「ちゃんと生きよう。」
それを教えてくれるのはいつもライブハウスだったなぁ。
聴きながら改めて強く思う。

優しく切なくて胸を苦しくさせられる『月面のプール』、
キラキラ且つ癒される『オーロラソング』の流れがすごく好き。

月面のプールをプロデュースしたのは弥吉淳二さん。
(フラッドの色々な曲をプロデュースしていた方ですね。私の大好きな花やKIDS等も…)
そんな弥吉さん、佐々木さん曰く"旅に出た"とのことで、そんな彼に向けて歌ったオーロラソング。
その歌詞1つ1つが胸熱なのだが、

死にたい理由を並べるといつの間にか
生きたい理由になっていくのは不思議なことじゃない

のフレーズは自分にとってすごく大事なものになってる。
消えてしまいたいって思ったこともあったけど、
令和まで生きていなければ私はフラッドに出会えなかった、
この曲をこのフレーズを生で聴けることになるとは思ってなかった。
だから本当に良かったなぁ…と思って涙腺やばかった。

 

途中のMCにて佐々木さんが当時の話をしだす。
I'M FREEのジャケットといえば、1人の男性が落下する写真になっている。
誰もが、いやむしろ本人すらもそれは佐々木さんである・・・と思っていたが、

佐々木「昨日事務所に行って聞いて、
俺も初めて知ったんだけど、
あれ、俺じゃないかもしれないって話になってる」

と衝撃の事実を知らされ、会場がざわつく。
渡邊さん&HISAYOさん(Ba.)の見解によれば、佐々木さんかどうかは五分五分ってところらしい。

そんな調子で相変わらず場を和ませてくれる佐々木さんだが、
当時への思い入れ、そしてそれを引っ提げてツアーをスタートさせた今日この日に対する想いも語ってくれた。
あの頃より確実にアップデートされたのが今日であることを話した佐々木さん。

「10年前の為の今日では無く、今日のための今日になった。」

当時を知らないそんな新規の自分に優しく手を差し伸べてくれたようなその言葉が嬉しくて、涙が溢れてきた。

そして彼もそう、アオキテツさん(Gt.)は当時は加入していなかった。
今回は今までに増して、佐々木さんのテツさんへのギターソロの煽りに熱さを感じた。
どこの曲か忘れたけど、「10年前より良い理由のギター、アオキテツ!」っぽい事を言ってた気がした。テツさんへの愛情を感じて嬉しくなった。

ロックさもポップさもある『The Future Is Mine』や、
『見るまえに跳べ』の"ラララララ"の軽快なフレーズで、再び会場を明るく盛り上げた。

 

そんな明るい展開から一転して、本編最終章に突入。
この再現ツアーを見にきた我々がもはや1番期待した2曲ではないだろうか。
ダークで怪しげな始まりな『I'M FREE』。
音源で聴いてた時から頭から離れなかった曲だった。
個人的に今回は1曲目でドカンとかますんだろうと予想していたが、まさかのここの位置。
だけど不思議としっくりきてしまった。ラスボス感半端ない。

からの『FUCK FOREVER』。後半でタイトル曲並べて来るところが攻めてて好き。
生まれて初めてミュージシャンに向けて中指立てさせていただきました。楽しかった。
特にテツさんが中指立て返して煽るの最高すぎました。

この時にふと思って、
フラッドってちょっと80年代ロックンロールみがあって、
時代に逆行してる空気感が特徴的だと思う。
当時のロックンロールは世間に反発するイメージを(勝手に)持っていて、
確かにフラッドの音楽性とかメッセージって世間に抗ってる印象ある。
楽曲も激しいし、コロナ禍まえはダイバーがゴロゴロやってたのも聞いた。
でも決して時代遅れではなく、ちゃんと"現代"っぽさがある。
しかもこんなにゴリっゴリなパフォーマンスでお客さんの治安が良い。
最近のライブ・フェス界で良くない話も聴くんですが、
フラッドのお客さんって立ち位置指定から動いてハメ外したりしない、叫んだりしない、アーティストを守るために正しく楽しんでいるのが印象的だった。
新規ファンとしてそれが嬉しく感じるし、バンドの人徳なんだろうなぁって思った。

 

そんなラスボス2曲をぶちかまして次に披露されたのは『Diamond Rocks』。
7月の伝説の夜を君とファイナルの後にこのツアーが発表されて、
それじゃあアルバム聴かなきゃ!とSpo○ifyで全曲聴いて、
待って好みすぎるんだけど!ってなったのがこの曲でした。
それから約2ヶ月沢山聴き続けて、今日ここで聴けるのを楽しみにしていた。

なかなかやらないから不安になっていた(アンコール1曲目の予想もしていたけど)。
あの激しく特徴的な渡邊さんのドラムのイントロがこのタイミングで来て飛び上がった。
本家より体感BPMが高く感じた。イントロからめちゃくちゃ腕を振り上げて楽しんだ。
佐々木さんのサビの熱いボーカルに合わせてぶち上がっててた客席の空気感も最高だった。

何より、ちょっとダークみがあるあの看板2曲の後に、この曲を持ってきたセットリストに乾杯案件です・・・。
"サニーボーイ"である渡邊さんをイメージした曲らしく、
一見真っ直ぐでキラキラで明るさのある曲。
だけどきっと前2曲と通ずる"暗闇"のようなものが前提にあるのかもしれない。
だからこそ、この流れで、
しっかりと"暗闇からの光"、"終わりからの始まり"を感じた。

生身の命は君のもんだ
涙をこぼしても
生きてる奇跡は君のもんだ
そのままで

"君のもんだ"のフレーズで客席を指差した佐々木さんの真剣な表情に涙が止まらなくなった。
明日からしっかりと前を向いて歩けるような、そんな背中を押してくれる瞬間だった。
たった2ヶ月前に出会ったこの曲が、すでに私にとって大事な曲になってしまっている。

 

物語はクライマックス。
激アツ曲『ロックンロールバンド』。
先程のDiamond Rocksでも書いた"終わりからの始まり"を前向きに感じさせる曲。
伝説の夜を君とツアーの福岡公演のラストで初めてこの曲を聴いた時、
"今日が最後かもしれない"なんてそんな寂しいこと言うなよ…なんて思ったんですが、
今日ここで聴けたことで、このフレーズを前向きに感じることができたかもしれない。

 

"ダーリン 君からしたらこんなのってバカみたいかい?"
佐々木さんが歌うこのフレーズを聴いて、待ってました〜!ってなりました。
2枚のアルバムの始まり、そして終わりを飾る『理由なき反抗(The Rebel Age)』。
本当の意味で今回のツアーの主役かもしれない。

ダーリン 君からしたらこんなのってバカみたいかい
ダーリン 笑いながらも涙がこぼれるんだよどうしても
ダーリン 君が笑ってくれるくらいバカでいたいんだ
ダーリン 転びながら物語は続く

各フレーズが今回のツアーの色々な曲を現しているみたいで。
時に笑わせて泣かせてくれて安心して居場所をくれる佐々木亮介の、そしてフラッドの存在の大きさを今年知れたのは大きな奇跡で、
心から出会えて良かった。色々思い返してやっぱり泣いちゃった。

「えっと、、、、元気でね」
と特に多くは語らないスーパー可愛い佐々木さん。
ラストはもはやボーナスステージでクスッとさせられた『Beer! Beer! Beer!』。
HISAYOさんイメージの楽曲であることを後から知った。いい感じに酒クズで最高です姐さん。
「明日もあるけどもう一軒行ける」とかただの私じゃん(親近感)。

 

アンコール。
佐々木さんだけが登場。
FUCK FOREVERの限定盤の話になる。
限定盤の最後には、Billy JoelのPiano Manを佐々木さんなりの解釈で少し変えての日本語史でカバーした『BLUES MAN』が収録されている。
「当時音源に入れていいか確認したんだけど、
数量限定ならいいって言われたから限定盤としてリリースして。
そしてこの今、追加で売ってもいいって言われて。
どういうシステムなんだと(笑)。」
そんな謎エピソードによりFUCK FOREVERの限定盤が今回物販により再販されることになった。
エピソードに笑ってたのも束の間、佐々木さんが前方に出てきて、
マイクを通さず、弾き語り曲『BLUES MAN』を披露する。
静かに、且つ熱く、たくさんの感情が吐き出されていた。

大人、社会、挫折、絶望、孤独、願い、光、意志、平和、愛。

私が本当に聴きたかったものが、佐々木さんの口から次々と展開される。

何を信じるのか
それは誰かに教えてもらうもんじゃない
LOVEとHATEに意味も理由もクソもない
どうか心のあるままに

2012年のブルースなのにね、
情報に流されていろんなものに振り回されるのかすらわからないこの現代だから刺さってしまう。
自分を見失いそうになった時はこのフレーズを思い出すんだろうか。

そして佐々木さんが真剣な表情でまっすぐに私たちに向けてくれた、

"はっきり言うぜ 君を愛してる"

この瞬間のことは決して忘れることはないだろう。

 

テツさん、HISAYOさん、渡邊さんが再び登場し、
最後は発売されたばかりの新曲『花火を見に行こう』。
BLUES MANであんなに泣いたばかりなのに、また泣かせにきてしまった・・・。
私がこの曲を最初に聴いたのは、伝説の夜を君との福岡公演。佐々木さん・渡邊さんのセッションだった。
そして次に、そのツアーファイナルのLINE CUBEで初めて4人揃っての披露だった。
あれ以来で、今回はライブハウスでの初の4人の演奏を聴くことが聴けたのが本当に嬉しい。

もしかしたらFUCK FOREVERもI'M FREEも、
一面闇のキャンパスに希望を描こうともがいていた楽曲達かも知れないし、
宿命は決まってて無駄な抵抗でも争ってそれでも光を見に行きたい、
そんな願いが込められてる作品だったんじゃないかって、新参者ながら感じた瞬間でした。

ほんと今年、花火を見に行こうという楽曲に出会えたことが、
自分にとって大きな出来事になったなぁ。
改めて、この2022年に心から最高だと思える楽曲を産んでくれてありがとうございます。

 

ラスト、
「みんなのおかげでアルバムの曲達がますます可愛くなった。」
の相変わらずの佐々木節が可愛すぎて幸せになる。

フラッドはとにかくロックンロールでカッコよくて楽しくて、
だけど私たちの心にまっすぐと寄り添ってくれる優しさもあって、
ライブ行けば行くほど好きになる。
・・・現時点で参戦予定がないのですが(涙)。
フリラ本当に行きたいけど…都内ど平日…涙
来年もツアーやってくれるよね、沢山会いに行きます!
まずは今回のツアーと代々木フリーライブが大成功を遂げることを心から願っています!