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【配信ライブレポート】The Cheserasera - 2021 晩夏の応酬

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※配信アーカイブ期間中につき、ネタバレにご注意下さい。

 

「The Cheserasera 2021 晩夏の応酬 昼夜ワンマン公演」が、
2021年9月23日に新代田FEVERで開催された。

私は残念ながら現地参戦は出来なかったが、夜の部は配信があった為、配信にて参戦。

ケセラは私の中で何となく、"夏の終わりから秋に変わるような切なさ"を持っているバンドだと思っている。
今回1曲目が"Blues Driver"だったことで、それを一層強く感じさせられた。

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この曲は、リリースから今までライブではほぼ欠かさず披露されてきたが、
1曲目で来るのは実は珍しい。(もしかしたら初ではないかな?)
もう9月下旬だけど、何故かまだ夏のままだなぁ思っていた私に、
冒頭から夏の終わりを感じさせてくれた。
やっと、今年も夏を越えられる、そんな気持ちになった。

気のせいか、アレンジやボーカルにいつもより「大人」を感じた。
Blues Driverは宍戸翼(Vo)が20代の時に作った曲で、今は30代。本当の意味で「大人」な年代だからこそ、表現出来るものを垣間見た気がした。
彼と私は年齢が近いので、勝手に一緒に歳を重ねている気持ちになってしまう・・・。

ケセラは本当にかっこいい曲を作って歌うバンドだが、どこか不安定とも思う。
それをダイレクトに感じられた出来事が、"最後の恋"リリースの際の、
宍戸のTwitterのツイートだ。(Wikiに載ってるので探しやすい。/それ以前にブックマークしてますが…。)

この「バンドの現状」がある為、偶に不安になる事があるし、
いつかバンドを辞めてしまうのではないか…なんて考える事もある。

そんな時にBlues Driverを聴くと、その不安は少し解消される。
この曲は、バンドを辞めた友人の事を歌っていて、
それでも自分達は一生音楽を続けていく…そんな決意の歌だ。

今回1曲目で披露された事で、
今後もThe Cheseraseraが変わらず居てくれる事に、心から希望を持つことが出来た。

 

"また逢える日には"、"賛美歌"、"残像film"…等、まさに夏から秋の切なさと愛しさを演出する前半のセットリストは、あまりにも美しく、切ない気持ちにさせられた。
ちなみに、昼夜でセトリ変えたとの事だが…昼のセトリも気になって仕方がない。

 

現時点での新譜EP『Mouth to Mouth』の収録曲の中で、
一番早く披露されていたのが、"グッドラック"だった。
昨年宍戸が、「新曲の歌詞がうまく書けない」と、インスタグラムの配信で悩みを打ち明けたことがあった。
それから数日後に行われた配信限定ライブでグッドラックが初披露された。
(その時点での曲の仮タイトルは"2020年、宇宙の旅"で、EP発売時に本タイトル"グッドラック"が発表された。)
爽やかな曲調、「終わりからの始まり」を連想させられる前向きなナンバーで、まるで色々な事を乗り越えた様な表情で歌う、当時の彼の姿が印象的だった。

そして約1年後のこの日、宍戸はステージで、

「誰にも会いたくない時ってあるけど、誰かに会わないと出来ないことがあって。
出来ればその全てを愛していたいです。
誰も居ない2020年に作った、"グッドラック"という曲をやります。

と言い、グッドラックを披露。

コロナ禍になり、生活が思うように行かなくて、絶望的な状況になったのは否めない。
だが、この状況だからこそ初めて見えたものがあって、初めて大事だと気づいたものもあって、だからこそ乗り越えられたものもあって、

「だからこそ出来た名曲」もあって。

画面でみた彼の表情で、去年の配信を彷彿とさせられた。
「きっと大丈夫だから。」まるでそんな事を言っているようだった。

 

そして今回もまた、新曲が披露される。
どうしてもタイトルが聞き取れないんだけど、ミドルテンポの優しく切ない哀愁ソング。
まさにケセラの王道じゃないか。これはシングル候補になってもおかしくないなぁ。
今後の発表が楽しみです。
宍戸の必死のボーカルにも胸を打たれまくりだった。

 

後半戦の展開がまさにパワー全開。"東京タワー"→"最後の恋"→"ファンファーレ"→"I Hate Love Song"。

「自分を見失ったときに聴いて欲しい。」
と宍戸が言って東京タワーが披露された瞬間、涙がボロボロ溢れ出した。

ケセラを好きになったきっかけの曲。
20半ばから後半になり、世間、社会、仕事、恋愛…全部がわからなくなった時に、会社の帰りの夜道で聴いていた曲。
30代にり、少しずつ心に余裕を持てる様になったけど、この曲を聴くとあの頃を思い出す。
今思えば大事な経験だったし、
その時に寄り添ってくれたものが今はかけがえのないものになっている。

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アンコール、"Escape Summer"、"月と太陽の日々"で締め括られた。
例の1年前の配信ライブで1曲目に披露されたEscape Summerが、今回のアンコールになることは胸熱すぎるし、
最後は代表曲、月と太陽の日々のキレッキレな演奏+ボーカルで決めてくれて、配信とはいえ最高に楽しかった。

 

MCで年末にツアーを行うことを明かされていたが、
終演後、配信画面には東名阪ツアーの日程が表示されていた。
大阪と名古屋の日程は残念ながら他の予定が埋まってしまったので…、
東京・下北沢は取りに行きたいと思います!(曜日的にもキャパ的にもチケット厳しそうだけど…負けない…)
ケセラは今年4月にONESHIP(スリーマンライブ)で見ることが出来たが、
ワンマン公演は2019年以来なので、今度こそ参戦が叶いますように。
私の心の隙間を埋めてくれるケセラの音楽を、今後は現地で体感したい。