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【ライブレポート】9mm Parabellum Bullet - カオスの百年 vol.14/KT Zepp Yokohama

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毎年9月9日といえば9mm Parabellum Bulletをお祝いする、通称"9mmの日"である。

3年前は北海道地震の為、延期(翌年3月に無事に開催&参戦)、
2年前はチケット取り逃がし(時雨との対バン見たかった)、
去年は今回と同じ場所、Zepp Yokohamaでの開催が決まっていて、チケットも取れていた。しかし、コロナにより開催は叶わず、無観客に変更となった。

そういうわけで、先日無事に開催された「カオスの百年 vol.14」は、
私にとって、本当に久々の9月9日の現地参戦となった。

folca(O.A)

まずは9mmのサポートも務める為川裕也(Gt)が在籍するバンド、「folca」のステージ。
数日前の9mmのyoutube配信ライブで披露された『光の雨が降る夜に』のカバーは聴いていたが、生歌を聴くのは今回が初めてだ。
オープニングで4人が向かい合い、グーパンチ。この場面で既に好感持てる。
1曲目イントロから攻め攻めのサウンド。知らない曲だらけでも十分に楽しめるライブだった。

何より、山下英将(Vo)の声が好みすぎた。
バンドの曲もさながら、ここでも歌われた『光の雨が降る夜に』が素晴らしすぎた。
ドスの効いたAメロ。Bメロからサビに入る叫びは最高に美しく、最高に熱く、胸が震えた。
胸を張って十八番だと呼べるのではないか。
(入れて欲しかったなぁ…9mmトリビュート。)
youtube配信で聴いた時もかっこ良いなぁとは思ってたけど、
生歌がその数十倍はえもかった。ライブ映えバンドだなぁと思った。

ラストは「大切な曲」と言って披露された『HAGURUMA』。
OUTASIGHTの楽曲のカバーとのこと。
アップテンポな曲だが、どこか優しく、切なさもある。
"こんな筈じゃなかったんだ"と叫ぶラストが印象的だった。
ここだけ切り取るとネガティブな印象だが、全体的には未来を信じるような、前向きな曲に思えた。
原曲もfolca版も改めてしっかり聴いてみたいな。

何だかんだボーカルの話しかしてない気がするけど、全体的にかっこよかった。
またライブハウスに会いに行きたい。

9mm Parabellum Bullet

オープニング〜序盤

1曲目は配信限定のインスト曲『Blazing Souls』。
この曲といえば、去年11月の渋谷公演でのSEだった。
プロレス番組のタイアップの為、当時はプロレス入場とネタにされていたが、
今回はSE扱いではなく、登場後に生演奏で披露された。
インストといえど、まさに9mmらしい派手なサウンド。最初から全力で楽しめた。

そこから『Wildpitch』に続く。コア枠だろうけど、最近では度々セットリストに組み込まれる印象を持っている。
先程folcaがカバーした、『光の雨が降る夜に』を本家でも披露。
この曲といえば、2019年の札幌公演を思い出す。
前述の通り、9/9が叶わず翌年振替になった、ガッツリ花道+写真撮影OKという、もはや伝説の公演だった。
そして、私にとっては滝さんの復活公演だった。

光の雨のアウトローで、卓郎さんと滝さんが花道で背中合わせで演奏していたシーンをこの目で見た時、涙が止まらなくなったのを今でも鮮明に思い出す。
だからこそ、"9/9での光の雨"はやっぱり特別だ。今回もガッツリ動いてる滝さんの姿が見えて、本当に良かった…と、改めて感じさせれた。

そこから休憩なしで『Scense』のイントロ。この繋ぎは最高にカッコよかった。
Scenseといえば、私にとっては2019年の大阪野音フリーライブで以来だった(あのセトリまじで神)。
"また会おう必ず" のフレーズ、今だから余計に刺さるし、全体的にも今の状況だから響く歌詞と思う。本当に励まされる。
是非ライブ定番化してください…光の雨とセットで…。

"9曲目縛り"のセットリスト

序盤から既に、セトリ的にも盛り上がっていたが…ここで事件が起きた。
『Endless Game』→『DEEP BLUE』→『ダークホース』→『キャンドルの灯を』…
キャンドルは置いといて、DEEP BLUEも直近アルバムタイトル曲だし分からなくもないが、
え、Endless Game?ダークホース?一体何が起こってるんだ…!?
戸惑いつつも、どの曲もバチバチにかっこいいので、一旦考えずに飛びまくる。

後に、菅原卓郎(Vo)のMCにて、全てアルバム9曲目であることが明かされる。
ぜ、全然気づかなかった…。
「もし予想出来ていた人がいたら…きっと…帰り道に良い事あります。」
と真顔で言う卓郎。
果たして、帰り道に良い事があったミリくらはいるのでしょうか。

セットリスト9曲目には9枚目のアルバム曲をやろうとしたが、
残念ながら9mmは8枚しかアルバムを出していないとの事。
そんなわけで、ここは9枚目のシングル「サクリファイス」が披露される事に。

その後もアルバム9曲目縛りは続く。
『Starlight』→『悪いクスリ』→『Butterfly Effect』→『ホワイトアウト』
なかなかトリッキーなセットリストである(※褒めている)。

Starlight、当初は特に何とも思ってなかったけど実はキャッチーで聴きやすい曲だと気付いた。
かつ、孤独に寄り添う歌詞だなぁにも今更ながら胸が打たれた。
アウトローでの滝善充(Gt)のギターも美しい。
ここで聴いた事で、実は凄く好みな曲だと初めて気づく。
こういった発見が、生ライブの素敵なところだと思う。

ホワイトアウトも今年、BABEL再現で披露された時から急激に好きになった曲。
滝さんのコーラスが合わさって美しいし、2番Aメロの卓郎さんのボーカルが泣けます…。

夏フェスメドレー

今年も数々のフェスが中止になってしまい、9mmは今年もフェス主演が叶わなかった。
ナンバーショット…出て欲しかったな…。

「せっかく今日ライブが出来てるんだから、
どうせなら何かしたいな…と思って考えてきました。
まずは、"アルバム9曲目縛り"。
でも、これだけでは(コアファン以外には)マニアックすぎる。
みんなも、夏フェスで9mm見る時のような、"あの曲"や"この曲"を聴きたいんじゃないか。
その全てを満たすために、あたかもみんなが夏フェスの会場に来たかのように…

9mmの定番曲をダイジェストで披露します!

そう話した卓郎が直後「いけるかー!」と叫び、『太陽が欲しいだけ』イントロで、"夏フェスメドレー"が始まった。
序盤から既に会場のテンションが爆上がり。
配信組のそれぞれのお家で発狂している姿が鮮明に目に浮かぶ。

そこから『ハートに火をつけて』→『Answer And Answer』→『Discommunication』→『新しい光』→『The World』→『黒い森の旅人』→『名もなきヒーロー』…と続く。
1曲につき約1コーラス分位の長さだが、休みなしで襲いかかってくる。
声は出せなくても、会場の熱気や一体感が爆発していた。まさに灼熱のターンだった。

私事ではあるが、直近でどうしても行きたかった山口県のフェスが中止になった。9mmは出演無し
正直まだまだしんどいなって思う。
それでもこの日、そんな私達を9mmが励ましていくれている様だった。

名もなきヒーローのアウトローの後、卓郎が「最後の曲です!」と叫び、
すかさず『Living Dying Message』のイントロが始まる。

9mmが10年程ずっと好きで、新譜が出る度に、"好き"が塗り替えられていくバンドだ。
それでも私は、『Living Dying Message』が一番好きでなのはずっと変わらない。この先も。

「孤独」とは

Living Dying Messageといえば、疾走感あふれるアップテンポ。
だが歌詞は、"孤独"や"挫折"や"悲しみ"…等の切ない感情が前提となっている。

偏見かもしれないが、ロック好きは孤独感を強く抱える人が多いように思える。
唯一の拠り所のライブでさえ、今となっては思うように足を運べなくなり、更なる喪失感に襲われているのではないか。(少なくとも私はそう。)
それは聴き手だけじゃなく、バンドマンも同じかもしれない。

何故、夏フェスメドレーのラストがこの曲だったのか。
お互いの苦しみを分かち合い、明日を少しでも前向きな方向に運ぶ為だったのかもしれない。

瞳の中に映った景色
分かち合えないと知っても
賑やか過ぎる人ごみの中
たとえ自分とはぐれても

この曲に出会って、好きになって、暫く経つ。
私もいつか孤独を感じず、なんの気負いも無く、幸せだと言える日をずっと夢見ていた。

しかし現実は複雑で、劣等感は増えていくばかりだ。
それでも過ごしていく中で、
大好きな音楽に触れていく中で、
考えが少しずつ変わってきている。

孤独とは、誰にだって一生着いてくるものだと、今は思う。

あくまで自論だが、他者が見て"孤独"かどうかが大事ではない。
誰かと居ても孤独を感じる人はいる。
一人ぼっちでも、例えばそこに音楽があったり、美しい景色があったり…そういうものに生かされている人もいる。
大事なのは、自分の物差しを信じる事だと思う。

それでも孤独心に打ちひしがられて苦しむ日はあり、
そんな事もあったと笑える日も来る。
人生は、それの繰り返しだと思っている。

波もあるし、明日どう転ぶかなんてわからない。
要は、自分の中の"孤独"と一生向き合っていく覚悟を持っているかどうか、ではないかな。

あなたは二度と孤独になれない
いつか必ず分かる日が来るよ
あなたは二度と孤独にならない
いつか必ず分かる日がくるよ

分かる日が来るよ

自分の中でそんな結論を出した今、
"いつか"とは、実はすぐそこに来てるのかもしれない。
そう気づいて改めてこの曲を聴くと、昔とは違う熱さを感じた。

9mmに出会って本当によかった。
このタイミングでLiving Dying Messageを聴けて本当に良かった。

改めて、私の今年の夏は、まさにこの9曲の様な夏だったかもな…なんて思ってみたりする。

後半

メドレー終了後、『泡沫』→『白夜の日々』とここ最近の9mmの新しいナンバーの披露、再びコア曲『Scream For The Future』と続く。

そして、アルバム「DEEP BLUE」の問題児、『Mantra』で会場をぶった斬る。

終わってたまるか
止まってたまるか
なんとかなんのか
なんとかなんのか

と叫ぶだけの曲。(但し中村和彦(Ba)のシャウトはある。)
DEEP BLUEのツアーはコロナ前で、オーディエンスがとにかく叫び狂っていた。
これでもかってぐらい日頃の鬱憤を叫んでた。
私もそうだったからこそ、このご時世で叫べないのは本当に切ない。
それでも今回、あえて笑顔で叫ぶ卓郎さん。その明るさに不思議と救われた。

本編ラストは『生命のワルツ』。
全パートがゴリゴリにかっこいい。

いつかのどこかじゃなくて
聞いてくれここで命の声を

卓郎さんの強いボーカルで、フレーズ一つ一つにグッと来る。
最高にぶち上がったまま本編終了。

アンコールは、先日のyoutube配信の告知通り、出来たばかりの新曲が披露された。
聴いた感じは、ザ・踊れるロック!
モンキーダンスとか出来そうな気がする!
…と、今までの9mmの楽曲からしたら、少々新鮮味はあった。
しかし、王道のダンスロックとは少し斜めを行ってた。モワモワ感がある(何それ)。
"やっぱり9mmだなぁ"と思わせられる個性がしっかり入ってた気がした。
完成が楽しみである。

ラストは昔からの定番曲、『Punishment』。
この曲といえば、"年々早くなる"動画が上がっているのが有名だが…、
それでも今回のパニは最速なのでは?ってぐらい忙しかった。
この9/9という日に全てを出し尽くしたかのような、9mmらしい終わり方だった。


"9"にまつわるセトリの工夫、
私達に届けてくれた"夏フェスの空間"。
相変わらずファンを毎回楽しませてくれる、最高に優しさあふれるロックバンドだ。
9mmはずっと私のホームタウンで、この先もずっと共に笑って、共に熱くなって、時には励まされて…そんな関係をずっと続けていけたら良いなぁと改めて思った。

来年以降も9月9日(遠征の可能性が高いので9月10日もセットで)は、絶対に開けておきますので!
また、"生き延びて会いましょう"。
本当に最高の夜を、ありがとうございました!

余談

ずっと卓郎推しで来てたんだけど…去年の配信ライブあたりから、
和彦のかっこよさにいきなり気付いてしまって(遅い)。
(BABEL再現も今回も、座席が和彦側だったのは大きい。)
そんなわけで、今回の和彦ポイントを勝手に投下します

・『ダークホース』のベースソロ:
 赤×青のバチバチの照明も合わせてノックアウトされた。
・『キャンドルの灯を』:
 ベースくるっと回転!和彦のベースになりたい(きっとグロッキーになるけど)。
・『太陽が欲しいだけ』:
 …舌ペロしましたよね、あなた今、舌ペロしましたよね!!!???

〜完〜