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【配信ライブレポート】ayumi hamasaki MUSIC for LIFE~return~

※配信アーカイブ期間中につき、ネタバレにご注意下さい。

 

私が好きなアーティストの中で、コロナ禍以降で唯一、有観客ライブを行っていなかったのは、浜崎あゆみだけだと記憶している。
そもそも2020年も、2月に埼玉で行われたのみ。私含め、昨年一度も会えていないファンも多い。
だからこそ、2021年6月26・27日に行われたFC限定有観客ライブはみんなにとって、本当に貴重なものだった。

何が言いたいのかと言うと、競争率が高くなりすぎた為か、チケット全落ちして行けませんでした…(涙)。
しかし、配信という形で無事に見れて良かった。
今回は配信を見ての感想を語ります。

 

オープニングでは『Daybreak』のインストが流れ、以前ファンに募集した"空に手をかざしている写真"がスクリーンに映し出された。

どんなに遠く離れていても 僕らは同じ空の下で
いつかのあの日 夢見た場所へと
旅している同士だって事を忘れないで

それぞれの場所で、同じ気持ちで、"希望"を願う。それを表現している光景に思えた。
映像と歌詞があまりにもマッチして、最初からウルっとさせられた。

 

そして、久々に"金髪ショート"にしたあゆが、黒の衣装で登場。
まるで"美人悪役モンスター"のようなかっこよさと美しさ。
最近発表されたばかりの新曲『23rd Monster』から『We are the QUEENS』『Dreamed a Dream』が披露され、出だしから攻めてる選曲となった。
こんな理不尽な状況下の中、"自分はどうあるべきか"、"今をどう生きるか"…と、強く前向きなメッセージを、ストリングス+ロックな曲調に乗せて、聴き手に突き刺してくる。

Dreamed a Dreamといえば昨年リリースの曲。最初に歌番組で歌われた時は、どこか緊張していた様に感じた。しかし、今回はあの時より堂々と、伸び伸びと歌っている。
やはりあゆは"ライブアーティスト"だなと実感させられた。

 

今回ある意味で一番インパクトがあったのは、『Return Road』の演出だった。
一座があゆを指差し嘲笑う。それに戸惑うあゆ。
まるで"ネットの誹謗中傷"を表現している様にも伺える。ただ、ここまでは、あゆライブあるあるの、ダークで胸糞系の演出だなぁと思った。
しかし、ラストではまさかの逆転。先程まで吊し上げられていたはずのあゆが、今度は一座を指差しだす。一座は急に焦りだし、別のメンバーへ責任転嫁をする様子も見受けられた。
他者を勝手に決めつけ、あることないこと言って攻撃すると、何は自分に返ってくる。…そんなメッセージだったのかもしれない。
これだけでもFC限定なのは勿体無い。全人類に見て欲しい。

次に披露された『WARNING』『(miss)understood』は、先程の演出に対するアンサーソングと言っても過言では無いかもしれない。

 

途中、昨年末に発表されたインスト曲『Pray for you』をBGMに、昨年の無観客ライブのドキュメンタリー映像が流れた。
去年は色々な出来事が重なり、有観客ライブは1度も叶わなかった。
"みんなという、ラストピースの不在"…そのワードがテロップで流れた際はどうしようもなく苦しくなった。
同時に、あゆや一座、TA…それぞれの想いがようやく叶った2日間。その有り難みを、しっかりと感じられた。

 

恒例のウェディングドレスのターン、その1曲目が意外で、直近のバラードベストアルバムに収録された『春よ、来い』のカバーだった。
今回どこかで来るとは思っていたが…和な曲なのに洋な衣装。そのギャップは嫌いじゃない。
それにしてもあゆ、ウエスト細すぎて震えてる。(自分のお腹の肉を掴みながら)

次は『Voyage』。ほんの数年前までは、"何度道に迷ったのだろう"のフレーズを泣いて歌えなかった彼女だが、今回は穏やかに、堂々と前を向いて歌いあげた。
長く暗い道のりを本当の意味で乗り越え、目の前のファンへ"幸せ"をしっかり届けられるようになったのだろう。

『evolution』はオーケストラとロックが融合した、斬新なアレンジ。

こんな時代に生まれついたよ だから君に出会えたよ

21世紀と共に生まれた楽曲が、令和になった今でもこんなにも刺さるなんて。
20年ずっと好きでいてよかったなぁと、改めて思わされた。

 

真っ白+黒ブーツのシンプルな衣装で再登場し、2001年にリリースされた、globeのKEIKOとのデュエット曲『a song is born』が披露される。
今まで天災の時に歌われてきた為、何故今なのかは明確に理解できる。
そこから『progress』に続き、優しく温かいターンとなった。

本編ラストはライブ定番曲でもある『Mirrorcle World』。
ストリングスを交えたアレンジが豪華でありつつ、いつもよりはシンプルな演出にも思えた。
気のせいか、サビのボーカルがいつもより聴きやすい。演出ゆえか、ホールという音響の元か、あるいは今までコンディションに左右されてきた彼女の努力の元か…。

ただ前に進めと あなたが言うんじゃない

今まで披露されたMirrorcle Worldの中で一番、強く、しっかりと受け止められた気がする。

 

アンコール1曲目は恐らく『Life』だったらしいが、配信ではカットされていた。そのまま『Love song』に入る。
栄光、挫折…全てを経験している彼女だから出来た名曲と言っても過言ではない。

歌のない人生なんて
そんなの見当もつかない

このメッセージを伝えるための、今回の"有観客"ライブかもしれない、とも思う。

『MY ALL』では一座メンバーの紹介もあり、いつものあゆらしい展開だった。
今回もMCは無し。しかし、あゆは言葉じゃなく、いつも音楽でメッセージを伝えてきた。この曲を通して、"また会おうね!"って明るく語りかけていたように感じた。

 

ダブルアンコール、ラストの曲は『TODAY』。
2016年の熊本震災の際にキーパーソンになっていた曲で、これも今回外せなかっただろう。
先ほども話した通り、ライブでよく泣いていたあゆだが、今回殆ど泣かなかった。しかし、ここではついに涙を堪えきれず、ボロボロと涙を流しながら、
"まだ捨てたもんじゃないよ、君がいるなら"、と歌った姿に胸が苦しくなった。

最後、目に涙を浮かべながらも笑顔で"希望"を伝えてくれた。
今回も色々な葛藤があっただろう。迷いながらも答えを出し、ステージに立ったその姿は、心から美しく思えた。

 

ここまでが有観客ライブの映像(だと思われる)。
すると、あゆと一座が現れ、『July 1st 』を披露。配信限定のサプライズだった。
だから7月1日に配信開始だったのか〜!と嬉しくなる。
歌い終わりには花火が上がった。夏・花火・あゆといえば、エイベックスの夏フェス「a-nation」を連想させられる。
残念ながら今年は"夏"の開催は叶わないらしい。
だが、あのキラキラした夏を少し思い出させてくれた。粋な計らいに泣きそうになった。

 

エンディングでは、今回のリハーサルのドキュメンタリーが流れた。
BGMは『Sky high』。選曲があまりにも意外だったが、不思議とこみ上げてくるものがあった。

この曲といえば、2015年に発売されたミニアルバム「sixxxxxx」の収録曲。
2014年にLAに移住していたあゆは当時、歌手をやめる事を考えいた。それから様々な感情と戦い、やがて乗り越え、日本に戻り全国ツアー「真夜中のサーカス」を成し遂げる。
sixxxxxxはその直後にリリースされた作品だった。
まるで重たい荷物をおろせたかの様に伸び伸びと歌っていた、「真夜中のサーカス」とその後の「TAツアー2015」での姿が、本当に印象的だった。

今回思わず、当時の"変化"を重ねて見てしまった。
近年も、彼女には様々な葛藤がある様に思えた。
先ほども述べたように、良くも悪くもコンディションがボーカルに出てしまい、不安定に思える時も多々あった。(その人間らしさも魅力だが…)
何となく、去年、2020年夏のa-nationオンラインあたりから、その問題に終止符打ったように感じた。
"もう迷わない"と言っているかのように、堂々と伸び伸びと歌っていた。
そして、今回の公演を見て、それを確信した。

 

個人的に今回のライブを一言で表すと、"希望"だと思う。
未来への希望を描く、強く優しいメッセージをしっかりと受け取れた。
長年"孤独"を歌い続けた彼女が、ようやく"希望"を届けられる様になったのかもしれない。


何にせよ、大好きな人の幸せな姿を見れるのは、本当に嬉しい。

でも、次は必ずこの目で見たいなと思っている。
あゆ、それまでどうか穏やかで、幸せな日々を過ごして下さい。