※ツアー中につき、ネタバレにご注意下さい。
「one roomのみんなに会えないと、何の為に曲を作っているか分からなくなるときがある」
清水依与吏(Vo.)がそんな心の内を話してくれた。
ライブがし辛くなった状況でも、今のback numberの人気であれば、もっと大きな規模で、沢山人を集めて出来たはずだ。
しかし、彼らがコロナ禍後初のライブで選んだのは、one room(ファンクラブ)限定のホールツアーだった。
きっと私達がback numberを必要としている様に、彼らも私達を必要としている。
one roomへの想いがまっすぐに伝わったライブになった。
one room partyについて
先ほど説明した通り、back numberのファンクラブ限定ライブである。
コアな曲が沢山あり、楽器パートチェンジあり、ファン参加型イベントもありのお祭りだ。
(今回はコロナ禍により、ファン参加型イベントは無し)
2020にvol.5が開催されたが、コロナにより未完走となった。
そこで今年、vol.6の形で一新して開催。
私はとにかくback numberのコア曲が大好きで、vol.3からではあるが欠かさず参戦している。
今までは1公演しか当たらなかったが、今回はキャンセル分受付もあり、有難いことに5公演の参戦が叶った。
(参戦公演↓)
4.10夜(広島)、4.11夜(広島)、6.22夜(福岡)、6.23昼(福岡)、6.23夜(福岡)
全曲レビュー
#1.リッツパーティー
今回のツアーデザインを連想させるカラフルポップな照明で、明るい幕開け。
恋人同士の幸せソング。いわゆる"リア充曲"の部類。
よって、普段この曲で泣くことは無かったが(笑)、
《なかなか会えない日々が続いて入るけれど/次の休みには会いに行くから》
のフレーズ、このご時世で聴くとバンドとファンの関係の曲にさえ思えて、不意にうるっと来ました。嘘です泣きました。
今回、1曲目に選んだ事に喝采を送りたいレベル。
#2.KNOCK
いわゆる、恋愛で一番辛い時期(と勝手にに思っている)、"別れを予期する時期"を描いた、インディーズ1枚目のアルバム収録曲。
そんなこともあり、リッツパーティでの2人の恋愛をいきなりバッドエンドにする様な流れだな…と思ったり思わなかったり。
back numberで3本指に入る超推し曲。冗談抜きで今回1番聴きたかった。
2016年ぐらいから今までで、アルバム「逃した魚」の中で唯一披露されていない曲。そろそろ来るか…?とは思っていた。
しかし、イントロが流れた瞬間、気が動転して飛び上がった。いざ来るとこうなる。
初日、泣きすぎてステージの記憶がほとんど無い自分を心から恨んだ。
(翌日からは落ち着いて見てた)
原曲よりどこか明るい。しっかりと、ときに笑顔で歌う依与吏。
まるで、当時行き場が無かった自分の気持ちを、ようやく冷静に見つめることが出来たのかもしれない。
そう思うとやっぱり泣けてきた。 "今"聴けて良かった。
依与吏が「この曲は12年前ではなく、今の演奏で出してたら絶対に売れたのに」と話していた。
原曲で既によかったけど、ほんとそれ。むしろこの今、世間に聴いて欲しい。
こんなカッコよくて切なくて痛々しくて後味悪い曲(褒めてる)、back numberしか作れない。
#3.ヒロイン
「恋の始まり」の教科書のような曲。最初にライブで聴いた時も広島の同じ会場だったのを思い出す。
当時プライベートがもごもごで、あの時は聴いてて苦しかった。今はシンプルに名曲だなぁと受け入れられている。
定番人気曲なのに、party枠になってしまった…?と思うと少し複雑だ。
(クリスマスソングすら披露するので、そういうわけではないと思うけど)
ライブでの依与吏の高音が美しく、後半の《やっぱり僕は》の叫びがほんと胸熱。
まだまだ普通のツアーでも歌ってほしい。
ところで、近くの席で泣いている若い女の子を見かけると、「この子の恋愛が幸せな結果になりますように」と勝手に思ってしまう。歳取った証拠である。
#4.君の代わり
シングル「わたがし」のc/w曲。
今ツアーで初めて披露したとの事。c/wとはいえback numberらしい曲なので意外だった。back numberさん、もっとc/w曲やっていいのよ。
自分の恋愛について、こんなに一生懸命考えて歌にするバンドは他にいないよな…と、聴いていてそれを再認識させられた。
#5.Jaguar
最近のback numberで一番好きな曲はと聴かれたら迷わず答える曲。
シングル「オールドファッション」のc/w曲で、こちらも今回初披露。待ってました。
依与吏のボーカルがキレッキレでどこか怒りに満ちている。
back numberのライブは偶にこういうのあるから大好き。
公演によって感情に落差があったが、それもライブの醍醐味。
個人的には広島初日が一番激しくてお気に入り。依与吏もMCで自画自賛してた程に。
原曲はフェードアウト終わりだが、ライブ版はやはりオリジナルアレンジ。それぞれの演奏でスパン!とキレ良く終わらせた。
まさにライブ映え曲。いっそ定番曲にしましょうよ。
#6.水平線
曲自体も良いけど直前のMCが毎回泣ける為、相乗効果のように泣いてしまう。
"挫折"についての曲は世の中にありふれているが、このバンドは間違っても"みんなも辛いから"と言わない。"幸せ"を断言しない。
それでも、自分の悲しみがいつか形を変えるかもしれない、そんな希望は届けてくれる。
水平線は、back numberなりの寄り添い方が詰まっている。
この状況下で聴けて本当によかった。
なんとなく、"美しい日本語"を感じさせる曲だなぁと思っている。
#7.エメラルド
サビでのグリーンとピンクの光線、正にこの曲の為にあると言っても過言ではない。
もし他で同じ照明が使われたとしても、私はきっとエメラルドを思い出す。
「エメラルドよりバイマメンのステージの方が、みんな40倍ぐらい盛り上がってたね」と後のアンコールで依与吏が自虐に使った曲。
自分の周りでは最高に盛り上がってたんだけどな…?
私も楽しかったし、演出もディスコっぽくてまさにお祭りモードになった。今度ARTISTあたりと繋げてやって欲しい。
イントロの「ダダッ、ダダッ」の箇所は原曲より豪華で、ここだけでも推せる。
#8.そのドレスちょっと待った(バイマメンwithおたまねぎさん)
アンコール一発目はパートチェンジ。party定番のバイマメン。
ベースボーカルの寿に似てる人が「本当のone room partyはここからだぜ!」と客席を煽って曲が始まる。
ポップな照明が再び。ステージ床にはお花が周ってて可愛いかった。
それにしても栗原寿は何気に喋りが上手すぎる。
広島でベースのベルトが外れるアクシデントが起きた時は、
「みんなごめんね…ロックンロールの神様が悪戯をしたんだ。俺達の関係に嫉妬してるんだ」
とアドリブを発した時、もはやこの人は天才ではないかと思った。
同じくMC上手な依与吏に似てる人が本気でウケてる程度には。
ラストサビ、和也に似てる人のボーカルパートの時、寿に似ryの人が叫びながら客席煽ってたのが正にロックンロール。何言ってるのかよくわからなかったけど。
和也(設定入れ込むの面倒になった)の歌の上手さや声の可愛さも、寿のわざと下手に歌うあのクオリティ、どちらも好き。
#9.one room
タイトル通り、partyの主役曲。
夏の終わりの寂しさを感じさせられる。
私のparty参戦実績は春秋冬。夏に聴きたいなぁ…と4月の広島で考えていた。
その後キャンセル分の福岡公演に当選。無事に春夏秋冬全て制覇できた。おめでとう私。
今回はライブハウスじゃなくホールにより、演出照明が豪華で一瞬忘れそうになる。
でも、この曲を聴くと「partyに来たんだな」と実感させられて、しんみりする。
#10.赤い花火
「one room partyはここで終わりだけど、新曲作ったから聴いて欲しい」とボーナスステージへ突入。
新曲といっても先日発売された怪盗ではなく、未発表曲だった。
曲ができた時に「one roomに一番に聴かせたい」とメンバーの意見が一致した事で、今回組み込まれたらしい。
ミディアムバラードで、女性視点の素直になれない失恋ソング。
…といえばハッピーエンドも同じだが。
これは勝手な解釈で、ハッピーエンドは20代前半の女の子、赤い花火はアラサーもしくは30代の女性が主人公と予想。
後者はどこか乾いてる、冷静を装っている。
自分はこの年代ゆえに、主人公の心情が沁みてしまう。
複雑な心情を痛々しくもしっかり描いてくれるのが我らのback numberだ。
最初に私たちに届けてくれてありがとう。
back numberとone room
「フェス等で『back numberのお客さんはマナーが良い人ばかり』と周りからよく褒められるのが本当に嬉しい。
だから、みんなの事だから、このご時世で今までした事のない我慢を強いられて、周り以上に気を張って、生き辛い思いをしているんじゃないかと心配になる。
みんな今日まで本当に頑張ってきたから、もう十分だから、少しは自分を甘やかして。
最終的に自分を守れるのは自分しかいないから」
依与吏がしっかりとした声で一生懸命伝えてくれた。
日常の色々な場面を思い出して涙が溢れ出てきたが、同時に気持ちが軽くなった。
back numberはいつも、私たちが何で苦しんでいるか、不思議と分かってくれている気がする。
バンドとして自分達も大変な筈なのに、口を開けば私達one roomの事ばかりで、私達を一番心配してくれている。
そういえば水平線もエメラルドのライブも、赤い花火も、この前発表された「女王の猿」も、まず私達ファンクラブへの披露を計画してくれた。
back numberは本当に、長年のファンを大事に考えてくれる。
どんなに人気が出ても、いつも隣で寄り添ってくれるバンドなんだなぁと、改めて感じることができた。