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【ライブレポート】Nothing's Carved In Stone - Wonderer Tour/福岡DRUM LOGOS@210522

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2021年5月22日、Nothing's Carved In Stone「Wonderer Tour」の福岡公演に参戦。
松村拓さん(Vo.)のソロや別チームのライブは、昨年後半に足を運んでいたが、ナッシングスとしては2020年1月ぶりとなった。恐らくバンド自身も、全国ツアーはこの時期以降行っていない。

※ここからはネタバレを含みます。ツアー中の為、今後参戦される方はご注意下さい。

セットリストは、By Your Side(前回ツアー時のアルバム)以降に発表された新曲+定番曲+各アルバムから数曲。ナッシングらしい王道のセットリスト。

1曲目、「Like a Shooting Star」のイントロを体感した時、懐かしさで胸がいっぱいになった。「Brotherhood」はAメロで拓さんのジェスチャー(?)や、間奏で客席が手拍子をする定番の流れがある。そこも今まで通りに表現された。
マスク着用、声が出せない以外は、今までのナッシングスのライブと何も変わらない。

今回のツアーの表題曲になっているのは、新曲「Wonderer」。キャッチーで派手はサウンドにナッシングスらしさを感じつつ、オシャレで新鮮味もある。この曲に限った話ではないが、彼らは常に"新しさ"を曲に盛り込んでくれる。
拓さん曰く、Wonderer="ドリーマー"の様な意味が込められているとの事。こんな状況下でも、自分達らしく前に進み続けていく。そんな覚悟に似た気持ちが歌詞に表されていると思う。自由にかっこよく、それがナッシングスらしい。

本編最後に拓さんが「去年、僕たち自身が、この曲に救われていた」と語り、披露された「Dream in the Dark」。
この曲は、去年の最初の緊急事態宣言中に発表されたものだった。
私にとってもこの曲は思い入れが強い。悲しみを包み込むような様な優しいメロディと歌詞。昨年の「ROCKIN' QUARTET」で披露された時も素晴らしかったが、やはりナッシングスとして、この曲をライブで聴きたかった。

"思い出せ お前にはそう行く先がある"
"思い浮かべ 削ぎ落とせ 幾万回も"
このフレーズからの間奏が圧巻だった。4人が奏でるメロディが美しく、思わず涙が溢れた。目の前にあったのは"希望の光"そのものだった。

ナッシングスのライブを初めて見た時、ボーカル・演奏両方のクオリティに圧倒された。その感情は今も変わらない。楽器に詳しくない自分でさえ、ナッシングスのライブは、メンバーの誰を見ても全力楽しめる。
しかし、曲を知っていく中で、音のかっこよさだけではない魅力に気づいた。優しくも温かさもあるバンドだと認識し始めていた。
私はナッシングスの曲の中で「Brotherhood」が一番好きだ。彼ららしい技術的な魅力は勿論あるが、どこか切なく、聴き手の孤独に寄り添う優しい楽曲でもあると思う。
悲しくてどうしようもなくなった時、私はBrotherhoodのライブ映像を見て励まされていた。曲だけではなく、拓さんの優しい笑顔にも救われていた。無邪気でありながら凛としている、そんな彼の人間性には不思議な魅力がある。きっとそれがナッシングスのカラーの1つかもしれない。

「福岡に名前をつけたい…"きらめきの花"!」と拓さんが言った後、きらめきの花が披露された。
他の会場ではどうだったのかは不明であるが、もし、今回の福岡の会場の空気を感じてこの曲を選んでくれたのなら、不思議と嬉しくなる。
むしろそれはこっちの台詞だ。太陽の様に明るくて、キラキラしてて、私達を自然と笑顔を運んでくれる。時に、先に立って手を伸ばしてくれる。
ステージで音楽を伝えるナッシングスこそが、正に"きらめきの花"だった。
そんなライブを、この日目撃した。