『音楽文』(powered by rockinon.com)に投稿した文章のコピーです。
※2021年8月をもって新規投稿終了、2022年3月で掲載終了予定の為、
自信が投稿した文章のコピーをここに掲載します。
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東京ドームでの再会
ロックンロールの定義を更新し続けるTHE YELLOW MONKEY
(掲載日 2020年11月11日)
「THE YELLOW MONKEYのロックンロールを聴いてください」
2020年11月3日、東京ドーム。
吉井和哉さんの言葉が会場に響き渡る。
少し遡って4月5日、THE YELLOW MONKEY(以下イエモン)のライブの為、東京ドームにいる筈だったが、新型コロナウイルスによる開催中止により叶わなくなった。
同所で2017年12月に開催されたライブが私にとって初めての東京ドーム且つ、初めてのイエモンのライブ参戦だった。あの時の光景や感動は今でも胸に刻まれ、またこの場所で彼らのステージが見たいとずっと思っていた。
中止が決まった時は悔しくて仕方なかった。
その数ヶ月後、この国では音楽イベントにおける新型コロナウイルスの「感染拡大予防ガイドライン」が発表される。間も無くしてイエモンは『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE DOME and ARENA』の開催決定を発表。中止になった東京ドーム公演については、ガイドラインに基づいた形で11月3日に開催される事になった。
しかし、この数ヶ月で色々なものを見てきた。
コロナウイルス感染への不安、音楽イベントにおける世間からのイメージ、そもそもキャパシティの半分でチケットは取れるのだろうか?ライブとして成り立つのか?・・・正直、最初は100%喜ぶ事はできなかった。
参戦を迷う中、昨年12月28日に開催されたナゴヤドームのライブの配信を見る。
・・・配信からでも伝わる熱量に圧倒され、やっぱり私はライブに行きたい。このドームツアーの集大成をこの目で見に行きたい。そう強く思い、東京ドーム公演の参戦を決意。幸いチケットを手に入れる事が出来た。
2020年11月3日。コロナが完全に収束していない状況で、出来る限りの対策を行い、東京ドームに向かう。
『30th Anniversary LIVE -DOME SPECIAL-』開幕。1曲目は意外にもロックバラード”真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~”を披露。
2017年の時はセンターステージの巨大な卵が割れメンバーが登場する”WELCOME TO MY DOGHOUSE"だったのを覚えている。あの時は演出も含めかっこ良さ全開だったが、今回はどこか切なく、壮大で優しい世界観を感じる。どんなカラーでも最大限に表現するイエモンの凄さを改めて知った。
ライブ定番曲“SPARK”、実際に声は出せずとも会場の熱量は今までと変わらない。むしろ今までを超えた盛り上がりを感じる。
Gt.菊地英昭さんのギターソロから入る”球根”は、重苦しさもありながらもこの世界に希望をもたらす様なフレーズが心響いて、何故だか温かい気持ちになった。
コロナ禍以降でこの規模のライブを行うのはイエモンが世界初との事。客席はキャパの約半分だが、事前募集で集めた音声を流す等の演出の工夫がされており、寂しさは全く感じない。
世の中の動きや国の対応をいち早く捉え行動に移し、感染対策も細かく実施。今できる最大限の形が取られた。
スタッフ・関係者の皆様含め「チーム・イエモン」の凄さが身に染み、感謝の気持ちでいっぱいになった。
途中、吉井さんが今回の東京ドーム公演について話していた。
解散前の東京ドームイベントは晴れ晴れとした気持ちで出来ず、リベンジの意味でも4月の東京ドーム2Daysを開催したかった。今回も公演は本来の望むべき形ではないかもしれない。なかなか気持ちのいい思いをさせてもらえない。
吉井さんはどこかばつが悪そうに、でも優しい表情で「それがTHE YELLOW MONKEYらしい」と微笑む。
そんな吉井さんが「THE YELLOW MONKEYのロックンロールを聴いてください」と話した後、”JAM”のイントロが流れる。
最近のライブやテレビで披露されるJAMのボーカルは、どこか堂々としている様に聴こえたが、この日は少し違った気がする。
いつも以上に感情が溢れている様に感じた。歌い終わりで吉井さんは上を見上げていた。真意は分からないが、まるで涙を堪えているかのように。
私がイエモンを好きになったきっかけは復活後で、ある日テレビで偶然にJAMの歌詞を知った時だった。
最後のフレーズを聴いたときに、自分が持つ孤独心や行き場のない感情を見抜かれた様な気持ちになり、涙が溢れ出した事を覚えている。
そこから約1年後にライブ参戦。ステージでの4人の姿は正に「ロックスター」という言葉が似合っていた。東京ドームが全く大きく感じない程の存在感や迫力に圧倒され、ますますこのバンドに夢中になった。
だが、イエモンの音楽や吉井さんの言葉はかっこ良い以上のものがある。私は彼らがロックスターだから好きになった。でもそれだけじゃない。このバンドは1人の人間として、聴き手の孤独や心の痛みに向き合う優しいロックスターだ。
テレビやネットで流れてくる数あるかっこ良い音楽の中で、あの時イエモンを選んだ理由は、他のバンドにはない『ロックンロール』の定義を感じ取って、惹かれたからだろう。
そのロックンロールは今日もこれまで以上に、強く優しく響き渡っていた。
温かくてどこか哀愁がある、イエモンの最新曲”未来はみないで”を披露、スクリーンに歌詞が映し出される。
本来であれば復活時の最初の曲として候補に上がっていたが、この曲ではなく”ALRIGHT”が発売されたらしい。未来はみないでを最初に聴いた時は正直「始まり」よりも「終わり」の様な寂しさを感じた為か、そのエピソードに若干の違和感を感じていた。
だが、今回実際に聴いた事でその気持ちが変わった。私は不思議と、最初に彼らと出会った日を思い出していた。
あの時はここまで自分にとって必要な存在になるなんて思ってもいなかった。コロナ禍でライブが無くなるなんて、新しい形で参戦が叶うなんて思ってもいなかった。
未来はどう転ぶかは分からない。この曲は未来に対して断言していない。それでも扉を開ける事でいつか世界は少しでも素敵な方向に変わるかもしれない。その勇気を与えてくれる始まりの曲の様に感じる。
迷いがありながらも再結成を選んだ吉井さんやメンバーの人間味の様なものがステージから伝わってくる。
《愛とは何かを知ったその朝に/僕らはこの部屋出て行くのでしょう》
あの日イエモンを見つける事が出来てよかった。
今日のライブに足を運ぶ決心をして、
部屋を飛び出して本当によかった。
イエモンが再結成の道を選んで、
部屋を飛び出してきてくれて本当によかった。
終演。
最後に写真撮影があり、無邪気なメンバーの姿を見て涙が止まらなくなった。嬉しくて仕方がなかった。
3年前の東京ドーム公演で胸に刻まれていたあの光景や感動は、輝きを増してアップデートされた。
またこの場所戻ってくる。必ず。
未来はどう転ぶかは分からないけど、その時はどんな景色を魅せてくれるのか、楽しみで仕方がない。
2020年11月3日、東京ドーム。
吉井和哉さんの言葉が会場に響き渡る。
少し遡って4月5日、THE YELLOW MONKEY(以下イエモン)のライブの為、東京ドームにいる筈だったが、新型コロナウイルスによる開催中止により叶わなくなった。
同所で2017年12月に開催されたライブが私にとって初めての東京ドーム且つ、初めてのイエモンのライブ参戦だった。あの時の光景や感動は今でも胸に刻まれ、またこの場所で彼らのステージが見たいとずっと思っていた。
中止が決まった時は悔しくて仕方なかった。
その数ヶ月後、この国では音楽イベントにおける新型コロナウイルスの「感染拡大予防ガイドライン」が発表される。間も無くしてイエモンは『THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE DOME and ARENA』の開催決定を発表。中止になった東京ドーム公演については、ガイドラインに基づいた形で11月3日に開催される事になった。
しかし、この数ヶ月で色々なものを見てきた。
コロナウイルス感染への不安、音楽イベントにおける世間からのイメージ、そもそもキャパシティの半分でチケットは取れるのだろうか?ライブとして成り立つのか?・・・正直、最初は100%喜ぶ事はできなかった。
参戦を迷う中、昨年12月28日に開催されたナゴヤドームのライブの配信を見る。
・・・配信からでも伝わる熱量に圧倒され、やっぱり私はライブに行きたい。このドームツアーの集大成をこの目で見に行きたい。そう強く思い、東京ドーム公演の参戦を決意。幸いチケットを手に入れる事が出来た。
2020年11月3日。コロナが完全に収束していない状況で、出来る限りの対策を行い、東京ドームに向かう。
『30th Anniversary LIVE -DOME SPECIAL-』開幕。1曲目は意外にもロックバラード”真珠色の革命時代~Pearl Light Of Revolution~”を披露。
2017年の時はセンターステージの巨大な卵が割れメンバーが登場する”WELCOME TO MY DOGHOUSE"だったのを覚えている。あの時は演出も含めかっこ良さ全開だったが、今回はどこか切なく、壮大で優しい世界観を感じる。どんなカラーでも最大限に表現するイエモンの凄さを改めて知った。
ライブ定番曲“SPARK”、実際に声は出せずとも会場の熱量は今までと変わらない。むしろ今までを超えた盛り上がりを感じる。
Gt.菊地英昭さんのギターソロから入る”球根”は、重苦しさもありながらもこの世界に希望をもたらす様なフレーズが心響いて、何故だか温かい気持ちになった。
コロナ禍以降でこの規模のライブを行うのはイエモンが世界初との事。客席はキャパの約半分だが、事前募集で集めた音声を流す等の演出の工夫がされており、寂しさは全く感じない。
世の中の動きや国の対応をいち早く捉え行動に移し、感染対策も細かく実施。今できる最大限の形が取られた。
スタッフ・関係者の皆様含め「チーム・イエモン」の凄さが身に染み、感謝の気持ちでいっぱいになった。
途中、吉井さんが今回の東京ドーム公演について話していた。
解散前の東京ドームイベントは晴れ晴れとした気持ちで出来ず、リベンジの意味でも4月の東京ドーム2Daysを開催したかった。今回も公演は本来の望むべき形ではないかもしれない。なかなか気持ちのいい思いをさせてもらえない。
吉井さんはどこかばつが悪そうに、でも優しい表情で「それがTHE YELLOW MONKEYらしい」と微笑む。
そんな吉井さんが「THE YELLOW MONKEYのロックンロールを聴いてください」と話した後、”JAM”のイントロが流れる。
最近のライブやテレビで披露されるJAMのボーカルは、どこか堂々としている様に聴こえたが、この日は少し違った気がする。
いつも以上に感情が溢れている様に感じた。歌い終わりで吉井さんは上を見上げていた。真意は分からないが、まるで涙を堪えているかのように。
私がイエモンを好きになったきっかけは復活後で、ある日テレビで偶然にJAMの歌詞を知った時だった。
最後のフレーズを聴いたときに、自分が持つ孤独心や行き場のない感情を見抜かれた様な気持ちになり、涙が溢れ出した事を覚えている。
そこから約1年後にライブ参戦。ステージでの4人の姿は正に「ロックスター」という言葉が似合っていた。東京ドームが全く大きく感じない程の存在感や迫力に圧倒され、ますますこのバンドに夢中になった。
だが、イエモンの音楽や吉井さんの言葉はかっこ良い以上のものがある。私は彼らがロックスターだから好きになった。でもそれだけじゃない。このバンドは1人の人間として、聴き手の孤独や心の痛みに向き合う優しいロックスターだ。
テレビやネットで流れてくる数あるかっこ良い音楽の中で、あの時イエモンを選んだ理由は、他のバンドにはない『ロックンロール』の定義を感じ取って、惹かれたからだろう。
そのロックンロールは今日もこれまで以上に、強く優しく響き渡っていた。
温かくてどこか哀愁がある、イエモンの最新曲”未来はみないで”を披露、スクリーンに歌詞が映し出される。
本来であれば復活時の最初の曲として候補に上がっていたが、この曲ではなく”ALRIGHT”が発売されたらしい。未来はみないでを最初に聴いた時は正直「始まり」よりも「終わり」の様な寂しさを感じた為か、そのエピソードに若干の違和感を感じていた。
だが、今回実際に聴いた事でその気持ちが変わった。私は不思議と、最初に彼らと出会った日を思い出していた。
あの時はここまで自分にとって必要な存在になるなんて思ってもいなかった。コロナ禍でライブが無くなるなんて、新しい形で参戦が叶うなんて思ってもいなかった。
未来はどう転ぶかは分からない。この曲は未来に対して断言していない。それでも扉を開ける事でいつか世界は少しでも素敵な方向に変わるかもしれない。その勇気を与えてくれる始まりの曲の様に感じる。
迷いがありながらも再結成を選んだ吉井さんやメンバーの人間味の様なものがステージから伝わってくる。
《愛とは何かを知ったその朝に/僕らはこの部屋出て行くのでしょう》
あの日イエモンを見つける事が出来てよかった。
今日のライブに足を運ぶ決心をして、
部屋を飛び出して本当によかった。
イエモンが再結成の道を選んで、
部屋を飛び出してきてくれて本当によかった。
終演。
最後に写真撮影があり、無邪気なメンバーの姿を見て涙が止まらなくなった。嬉しくて仕方がなかった。
3年前の東京ドーム公演で胸に刻まれていたあの光景や感動は、輝きを増してアップデートされた。
またこの場所戻ってくる。必ず。
未来はどう転ぶかは分からないけど、その時はどんな景色を魅せてくれるのか、楽しみで仕方がない。