*Minority Repor10*

ライブレポ * 音楽語り * たまに日常

THE YELLOW MONKEY「メカラ ウロコ・8 LIVE AT TOKYO DOME」レビュー

f:id:ta7cr5prm:20210807195013p:plain

今更ですが、2001年1月8日に東京ドームで開催された、イエモンの解散ライブ(※)を見ました。(ブック○フで買った)
(※)当時は活動休止を発表していたが、そのまま2004年に解散。

私がイエモンを好きになったのは復活後であり、当時の事は殆ど知らない。
初めてのライブ参戦は、2017年の東京ドーム2Days。
初日の終演後、ホテルに戻り、Wikipediaで色々な情報を見た。
2001年の東京ドーム公演の事、解散に至るまでの吉井さんの心情や状況…諸々を初めて知った。
吉井さんが「当時の東京ドーム公演はトラウマだった」と話していたのが、何となく理解できた。

その為、当時のライブ映像を見る事を少し躊躇っていた。
復活後、吉井さんや他メンバーは、本当に楽しそうに、優しい笑顔でステージに立っている様に思える。
その事だけを"現実"として認識していれば、私自身も幸せだと思ったからだ。

…だけど私は、当時のイエモンの楽曲を、知れば知るほど好きになっていく。
やっぱり、名曲が生まれた時代の景色を見てみたい。知っておきたい…。
そんな気持ちが強くなり、見ることを決心した。決心も何もたまたま立ち寄ったブック○フのお陰だがな。

そんな、THE YELLOW MONKEYの"実質"解散前、東京ドーム公演の映像作品、
当時を全く知らない私が見た感想を語ります。


2017年や2020年の時も思ったが、イエモンがあの会場に立つと、
東京ドームという場所が、大きな会場は見えなくなる。
その位、彼らの存在感が大きすぎる。まさに、本物のロックスターだ。
そして、2001年からそうだと知った。彼らにとって初の東京ドームとは思えないぐらい、会場を飲み込んでいく。全てがかっこいい。
同時に、初の東京ドームにしてはメンバーがワクワクしていない。
特に、序盤はかなり淡々としているし、シリアスみも強い。
セットリストが全体的に暗めというのもあるだろう。
後の感想全てに言える事だが、当時を知らなくとも情報だけは知っている、そんな自分の"先入観"もあるかもしれない。
ちなみに、私がこの世で一番好きな歌手、浜崎あゆみもそうだ。全盛期の頃はどこか硬かった。売れているプレッシャーもあるだろう。トップアーティストの荷物を下ろした時に、のびのびとする事だってある。
…なんて思いつつ、直近の彼ら空気感が違う為、少し戸惑いもある。

そんな緊張感のある前半だが、どこか"終わり"を感じさせられる切なさも見えた。
「GIRLIE」の後半。

I WANT YOU いつまでも
I WANT YOU そばにいて
君の喜ぶ事をしてあげたい

このフレーズを歌う吉井さんの表情が美しすぎた。
同時に悲しそうで、それがあまりにも残酷だった。
もしかしたら、まだ心のどこかでは諦めてなかったのかもしれない。
「GIRLIE」から「天国旅行」への流れは、本当に胸が締め付けられそうだった。

 

しかし、「ROCK STAR」「SHOCK HEARTS」あたりから、段々と明るくなってきた。吉井さんも合いの手を入れるなど、伸び伸びとしてきた様に思える。
「SUCK OF LIFE」では吉井さんとエマさんとの濃厚接触ターンも健在で、ファンも盛り上がっていた。
"アタシ、髭が生えてる人は嫌い!"の吉井さんのセリフ、個人的にベストオブサックに認定したい程に笑った。

イエモンは決して、メンバーが不仲だったわけでは無かった。
ただ、人一倍真面目で責任感が強く、精神が壊れていくのを止められなかった吉井さん、仲間想いのメンバー。当時はお互いを想う程、気を使ってしまい、寄り添う事が難しくなったんだろうなぁ…と想像すると、切なくなる。

 

「JAM」では、この曲を売ってくれた中原さん、
"PUNCH DRUNKARD TOUR"中の事故で帰らぬ人となってしまったスタッフさんに捧げられる形で歌われた。
JAMは公演毎にそれぞれの良さがある。2020年の東京ドームでは、色々乗り越えた穏やかさ、優しさが垣間見えた。
しかし、2001年の公演では、強く激しかった。
ラストの、行き場が無さそうに叫ぶ吉井さんの表情とボーカル、楽曲のリアリティさが最大限に出ていた。

彼はまだ、当時を思い出す事は辛いかもしれない。
しかし、ここで生まれたライブ版のJAMは、みんなにとって、かけがえのないものになっているはずだ。

 

アンコール1曲目は「メロメ」。
メロメといえば、原曲は吉井さんとピアノ・ストリングスだけで構成された、孤独感溢れる曲だ。
この日は、メンバー4人がステージに立ち、バンドアレンジで披露された。
解散ライブのせめてもの救いに思える。後半にストリングスが入るのも美しい。

ちなみに2020年の東京ドームでは、出だしの1コーラスで吉井さん&キーボードのみ。バンドメンバーの演奏は無かった。(2コーラス目から他メンバーも演奏していたが)
17年前の自分を客観的に見れるようになったからこそ、吉井さん1人のステージでも安心して出来たのだろう。
当時も1人だったら、きっとファンのみんな立ち直れないかもしれないよね…。

 

ラストはイエモンの原点曲、「WELCOME TO MY DOGHOUSE」。明るい締め方を選んでくれた。

普通の野良犬に戻ります。
我らTHE YELLOW MONKEYは永久に不滅です!

吉井さんが叫んだ直後にイントロが流れる。目から涙がボロボロ溢れ出た。

なんというデジャヴだ。
当時を知らない自分にとっても想い入れが強すぎる曲。
私が初めてライブで聴いたのもこの曲で、
2020年末、イエモン"2ndシーズン"のファイナルの武道館公演を配信で見ていたが、
その際ラストで歌われたのもこの曲で、同じくだりだった。

あの日、"大好きなバンドが活動休止しちゃう"と、泣きながら彼らのステージを見ていた。
2ndシーズンからファンになった私でさえ、こんなんだから、
2001年、当時を目撃したファンは本当にやばかっただろうな…。

 

私のイエモンライブ参戦履歴は、
・2017年12月9日・10日 東京ドーム
・2019年7月14日 マリンメッセ福岡
・2020年11月3日 東京ドーム
…の全4公演。(2017年のヤフオクドーム逃したのまじで後悔した)(実はFCに入ったのは去年末)
WELCOME TO MY DOGHOUSEは、2017年の東京ドームでしか聴けていない。
きっといつか来るであろう、3rdシーズンで聴けますように。

 

全体を通じて、やはり私が目撃していた2ndシーズンのイエモンとは、どこか空気感が違う事は否めない。
しかし、それが悪いと思わない。
むしろ数々の名曲を生み出してきた、イエモンの軌跡そのものであり、間違いなく歴史に刻まれる、大事な公演だと思う。

個人的に、去年の横アリの"パンドラツアー再現"みたいに、アルバム「8」の再現ライブを見れる日が来たらいいなぁと思う。
8中心のシリアスなセトリは、当時だから成り立ったものかもしれないが、
今のイエモンであれば、絶望を希望に変えるような、8が報われるようなライブをやってくれそう。それは絶対にこの目で見たい。

改めて、大好きなバンドの歴史を知れて良かった。
ちなみにもう一つ、パンドラツアーのドキュメンタリーも見たい作品の1つなので、近いうちに見てみようと思います。