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【配信ライブレポート】TaNaBaTa Night Vol.13

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※配信アーカイブ期間中につき、ネタバレにご注意下さい。

 

バンドにとっても、私たちファンにとっても、お祭りの季節がやってきた。

同人音楽サークルバンド「TaNaBaTa」のライブ、"TaNaBaTa Night"。
4回目を迎えた2012年から、毎年7日7日、1年も欠かさず開催されてきたが、
2020年7月7日は中止。

積み上げてきた歴史さえ、いとも簡単に奪ってしまうのがコロナであると、去年痛感させられた。
だからこそ、2年ぶりに開催された今年のTaNaBaTa Nightは、 "当たり前の日常"ではない、間違いなく"特別な夜"だった。

普段、邦楽ロックやJ-POPを中心に語ってますが、今回はTaNaBaTaのライブレポをがっつり。
ロックバンドといえばそうだが、東方自作アレンジ曲も多々あり、ファン層もだいぶ違う為、他のバンドと若干区別してはいる。
(TaNaBaTaとの出会等については、そのうち別で語ります。)

2021年7月7日に開催された、"TaNaBaTa Night Vol.13"。
現地には行けなかった為、配信の感想です。
言い訳だが、7/7はど平日が多い為、地方民のリーマンとして現地参戦はなかなかハードルが高い。
思い返せば最後の現地参戦は、ちょうど土曜日になった2018年。
今回、有観客+配信の形を取ってくれて本当によかったの一言に尽きる。

今までの動画配信等では、一切顔を出してこなかったバンドで、今回まさか…と思っていたら、顔は綺麗にぼかされていた。
それでも、例えばギター演奏のカットであれば、きちんと映っていたし、
ライブの臨場感は正確に伝わってきた。

今回見てて思ったが、"配信と現場の差別化"として、
この様な方法を取るのも有りかもしれない。
…いや、やっぱり少し寂しいよな、それは。

 

平日にしては開演時間が早めなこともあり、
ダブルアンコール含め、23曲も披露された。
久々のワンマンライブ、たくさん演奏してくれて本当に嬉しい。

オリジナルでは一番新しいアルバム曲『何かが足りない』から始まり、初期の東方アレンジ曲『細い線』に続く。
キレッキレの演奏で、出だしからTaNaBaTaらしいロックンロールを感じさせてくれた。

今回、バンドのライブでは珍しく、グッズでペンライトを販売している。
『黄金航路』で、客席が黄金色に染まる。今だから出来るやり方で最高のお祭りモードに。

『ルーリー』の歌い出しでは、あにーさん(Vo.)が噛み噛みになるアクシデントが起こり、まさかのリテイク。これぞ生ライブの醍醐味。
後に「ルーリーのくだりは忘れてください」と言うあにーさん。その緩さも健在。

個人的に、今回のセトリで一番嬉しかった曲は『アップルサイダー』。
かずやくん(Ba.)の希望でセットリスト入りされたことが明かされる。
ありがとうかずやくん。ありがとうイケメン。
配信ではぼかされているけど、男前のイケメンであることを私は知っている。
アップルサイダーといえば、TaNaBaTa初のオリジナル(=Not東方)のアルバム1曲目。
初々しく、爽やかで少し切ない、心地よいサウンドが魅力的。
一気に青春時代を思い出して胸が熱くなる。

続いて、ライブの一番の定番曲と言っても過言では無い、『ちるのちるのちるの』。
いつもであればタオルを振り回す、超盛り上がり曲。
残念ながら今回は禁止だが、ちるのカラーに光ったペンライトを回す客席の様子が映る。
今までと同じ、キラキラな空間が真っ直ぐ伝わってきて泣けてしまう。

今回は新譜「今夜、少女じゃいられない」を幾つか披露されたが、
現時点で一番好きなのが『コープスディスコ』。今回やってくれてよかった!
アップテンポで乗れるが、少し暗めなところにエモーショナルを感じる。

昨年末、あにーさんはソロ弾き語りツアーを行っていた。
(せっかく九州に来てくれたのに、チケット落選しました…涙)
そのツアータイトル"あと1cm"にちなんだ最新曲『1cmでも近くがいい』を披露。
人との距離感が難しいこのご時世だからこそ、余計に刺さる。
アコースティックは動画で見たが、バンドバージョンは今回初めて聴いた。
サビ後半がとにかく好み。流れるような、懐かしさのある曲調に胸がきゅんとなる。

「今日絶対に歌いたいと思っていた曲」と紹介して披露されたのが、『長く長い夢』

「バンドで音楽を作ってると、長い長い夢の中にいる思っていて」
「だけどみんなを目の前にしたら、それは夢じゃないんだって思って…
その繰り返しで、十何年もTaNaBaTaやってる」
「目の前で歌う事ができなくなった今だから、それが一層、大切だな事だと思った」

と、涙ぐんで話していたあにーさんに心を打たれてしまう。

いつか、長い長い夢も
いつか、終わっちゃうかな

きっと、何もかも繋がる
きっと、ひとつになれるから

当たり前じゃないこの空間で、音楽を噛み締めて届けてくれる。
私たちファンにとっても、この瞬間がどれ程大切であると思い知らされた。

しんみりしたところで、後半戦は熱い展開に。
爽やかでありつつも、攻撃的なアッパーチューン『Snipe Me』へと続く。
REFLECTは名盤。いつかまたno distortionが聴きたいです先生。

新譜の表題曲『今夜、少女じゃいられない』、まさに"七夕"を象徴した『スターオーシャン』に続く。
踊れるロック『コガネイロファンタスティック』では、ペンライトを振りながらダンスをするあにーさん。可愛くて尊い。きっと彼はずっと乙女。

 

アンコール。
来場ファンが書いた短冊を笹に吊るし、あにーさんが持ってくるイベントが本来ある。しかし、今回は感染予防の為、中止に。

そしてもうひとつ、童謡『たなばたさま』の合唱企画も無しで、あにーさんが1人で歌う。
いや、1人ではない、私たち配信組の歌声がきっと全国に響き渡ったはずだ。

バンドメンバーも再登場し、『ラムネガール』『Unknown Girl』を披露。
Unknown Girlといえばあにーさんの原点の曲にして、私の一番好きな特別な曲だ。
間奏でしゃがみ込むあにーさん、
「みんなと一緒に歌える日が来るまでは、一人で歌うから!」と叫ぶあにーさん、
途中マイクなしで歌うあにーさん、
ずっと好きな曲だけど、今回のUnknown Girlは格別だった。泣けるシーンのオンパレード。現地で見たかった。

 

ダブルアンコールで、あにーさんが一生懸命伝えてくれたこのMC、今回一番心に残っている。

「TaNaBaTa Night Vol.77まであるつもりだから、正直去年の1回ぐらいなくても別に大丈夫だと思ってたけど…でも全然そんな事なくて。」

「居酒屋行くなって言われたら行かないし、
4人以上で会うなと言われたら合わないし、
宮崎帰るなって言われたら帰らないし。
だけど、TaNaBaTa Nightできないことだけは我慢できなくてさ!」

そうなんだよ。私たちも、ライブの為ならある程度の事は我慢する。全部ライブの為。

音楽業界は今、本当に大変な状況だ。
ここ最近でもフェスの中止が相次でる。目の前が真っ暗になっても仕方ない。
色々なアーティストが色々な意見を持っている。どの意見も正解。
それでも私は、
"できる我慢はして、ルールは守ってて、私たちに音楽を届けてくれる。"
…その方法をとってくれる事が、一番嬉しい。

今年開催が叶わなかった、"TaNaBaTa Winter"の定番曲『七夕は真冬の夜に』を披露し、
昔からの定番曲『バスストップガール』で締め括られた。
「一番伝えたい人に一番伝えたい気持ちを、一つ残らず伝えようって歌です」
のあにーさんの言葉、またぶっ刺さってしまった。
爽やかでキュンと来て少し切ない、夏のラブソング。
TaNaBaTaらしい終わり方だった。

 

今回彼らは、沢山の告知を私たちにしてくれた。
・365日後に"TaNaBaTa Night Vol.14"を開催
・11月頃からソロ弾き語りツアーを開催
・直近でバンドのライブも決める

長く長い夢は、まだまだ終わらない。
きっとすぐに会える。
星空から希望の光が流れて来たようなライブだった。