ACIDMANの映像作品『ELEVEN』が発売されたので、
今更ですが、”THE STREAM”について書きます。
ELEVENは2021年6月11日に発売された3枚組DVD。
・2020年3月11日の配信ドキュメンタリー&ライブ「LIVE in FUKUSHIMA 2020」
・2020年7月11日の無観客配信ライブ「THE STREAM」
・2020年9月11日の有観客+配信インストライブ「This is instrumental」
これら3つの配信ライブが収録されている。
全て"11日"に開催された為、ELEVENというタイトルになったとの事。(因みに3.11以外は偶然らしい)
それぞれの公演に良い味はあるが、私は特にTHE STREAMの思い入れが強く、
約1年の時を経て、やっと感想を書く事ができた。
2020年、シングル「灰色の街」のリリース記念として、有観客ライブが予定されていたが、
コロナの影響で無観客配信に"変更”された。それがTHE STREAMである。
大木さん(Vo.)は、
「ライブをそのまま配信にしても意味がない、配信にしかできない方法を」と考え、映像にも特化した作品に仕上がった。
先月行われたニューアルバム「innocence」の配信ライブもまた、映像と音のコラボに特化されていた。恐らくその先駆けとなったのが、今回行われたTHE STREAMの経験だろう。
(innocenceのレポはこちら↓)
OPでは『灰色の街』のMVが流れる。あの日、これから何が始まるのかワクワクしていた事を思い出した。
1曲目『world symphony』では、曲と共に鮮やかな雫が舞い上がり、華やかなスタートとなった。そこから、キレッキレのバンドサウンド『ストロマトライト』に続く。
その後、一悟さん(Dr.)から始まった、インディーズ時代からの人気曲『to live』。
初期のACIDMANらしい狂気じみてる強烈な歌詞。その歌詞がスクリーンに表示されていく衝撃の演出。(まるでエヴァのタイポグラフフィを連想させられるド派手さ)。
放送ギリギリなまさかの展開にリアルタイムでお酒吹いてたのは私です。
出だしから楽曲や演出に熱くなりっぱなしだったが、MCはゆるさもあり。
拍手をくれたスタッフさんに「後で100円あげる」って言う大木さん。そこはいつものライブで見るACIDMANがいる。
MC明けに『Rebirth』披露。当時の最新曲で、この頃はアニメOPの部分のみ把握できていたが、ここで初めてフルを聴いた。キーが上がるラストサビはとにかく熱く、ぶわっと感情を揺さぶられる。
そしてシングル曲『スロウレイン』『赤橙』に続く。演出が比較的落ち着いており、楽曲の美しさを堪能できるターンとなった。
大木さんが南米・チリで撮影した星空を背景に披露された『ALMA』。
元々美しい楽曲や映像が加わりダイナミックさを増す。
希望や愛情を諦めず、手を伸ばし続ける人々そ表すような歌詞。
私がACIDMANを知ったのはほんの2年と少し前。あの日知る由はなかった、壮大なだけでなく、私達の小さな悲しみにも真っ直ぐ寄り添うメッセージに。この日初めて心打たれた。
2020年7月11日。この日本当の意味で、ACIDMANを知れたのかも知れない。
シンプルなインスト曲『Slow View』。音に合わせた映像やカメラワークは複雑で見応えがあった。『spaced out』は静かな曲だが、後半のギターソロが映像とともに激しく、エモーショナルな展開に。『水の夜に』は前作のアルバム曲。恐らく今回一番のコア曲で、SNSではビックリするファンが続出。正直、私もまともに聴いたのは初めてかもしれない。シンプルな中に淡さを感じる、美しい楽曲だと初めて気づいた。
今回の主役である『灰色の街』。自分にとっても本当に大事な曲というのは、過去のブログにも載せているので割愛。
THE STREAMにおいては、とにかく映像が素晴らしい。背景には灰色の街並み、巨大なフラワーアレンジメント。曲が進むにつれ花が咲き、鮮やかに彩られていく。
MV、innocenceの配信ライブ、どちらとも細かい演出は異なる。ただし、灰色の景色が最後は色づいていく…というストーリー展開は共通している。
悲しみとや孤独、それでも未来への希望を信じて前に進む。そんな楽曲のブレない世界観のもとだろう。
美しい花々が飾られたまま、温かみのあるアップテンポ『MEMORIES』、次にライブ定番曲『ある証明』を披露。ある証明ではサトマさん(Ba.)がカメラに向かって視聴者を煽る。無観客でも、そこは今までのライブと何も変わらなかった。
有観客ライブの醍醐味、後半の「イエーーーイ!!」は画面の前で夢中に叫んだ。実際に会えない。だけどしっかりと私達に届けてくれる。嬉しくて、泣きながら叫んだ。
ライブは終盤に。
大木さんが「この曲をやりたくて、今回映像にこだわった」と話して披露された『廻る、巡る、その核へ』。ダークな雰囲気と、生と死というテーマが濃く描かれている曲。それでも、今回の映像は次元を超えていた。良い意味で体調が悪くなりそうな程、曲の世界観をダイレクトに突き刺してくる。ラストで輪廻のメンバーが重なるシーン、もはや大木さんが神に見えた程、特殊な世界観だった。
最後は『Your Song』。恐らくアンコールの位置付けだろう。
全英語詞である曲。今回、画面に和訳の字幕が出た。
I accept your fate.
(私はあなたの運命を認めます)I accept your fight.
(私はあなたの戦いを認めます)
それぞれの場所で戦うリスナーを肯定し、寄り添ってくれるような歌詞である。
後半、過去のライブ映像が映し出され、それだけでもウルっときたが、
トドメを刺されたのはラスト。
You are OK
(あなたは大丈夫)
その言葉を、大木さんが叫ぶ。サトマさんが叫ぶ。一悟さんが叫ぶ。
日常の葛藤、苦悩、戦い…それらを思い出し、画面の前で涙を流したオーディエンスが続出したのではないか。
私もそのうちの1人だ。そしてこの日以来、自分の中ですごく大事な曲となった。
悲しくて悔しくて眠れない夜は、布団の中でスマホを取り出し、Your Songを聴いて励まされた。
"あなたは大丈夫"
今も私にとって、明日を生き抜くための、お守りの様な言葉になっている。
終演後、大木さんの口からインストライブ「This is instrumental」のツアー告知という嬉しいサプライズが発表され、THE STREAMは締め括られる。
(※インストライブは結果1公演のみとなったが、配信を実施。そして、今回の映像作品「ELEVEN」に収録された。)
新鮮味があるやり方、ライブのワクワク感、更に私達の日常に寄り添ってくれる、ACIDMANらしいライブを展開してくれた、THE STREAM。
映像作品として発売されて本当によかった。
他2公演のレポも今後出来たらいいな。